「マスター!! 落ち着くんじゃ!! 流石にそれはいかん!! マシュにバレたら不味いじゃろ!!」
「そ、そうです!! エウリュアレさんも見てないで手伝ってください!!」
「私は別に、後で後悔するマスターも見たいからそのままにしておくわよ? 前は止めてたけど、冷静に考えたらやる必要ないし」
ノッブとサンタジャンヌに引き止められつつも、しかし全力で抵抗して召喚室へと向かおうとするオオガミ。
それをエウリュアレは遠くからその様子を見てニヤニヤと笑っていた。
「それで、原因はミドラーシュのキャスター? それとも、アビゲイルかしら……?」
「当然アビゲイル!! 石の備蓄はまだあるし、少しくらいなら問題なし!!」
「阿呆!! もう30個以上使ったじゃろうが!! しかも、呼符も10枚使っとるし!!」
「それを言われたら心に刺さるんだけど!! お止めを!!」
「ならまずマスターが止まれ!!」
「あの、今更気付いたんですけど、なんでサーヴァント二人がかりで止められないんですか? トナカイさん、やっぱり人間じゃないですよね?」
被害を度外視し、全力で回そうとするオオガミ。
メルトリリス用にとってある備蓄石もいくつか放り投げ、ダウンロード記念の呼符10枚を破り捨てたにも関わらず、未だ止まろうとしないオオガミを抑えていたサンタジャンヌは、およそ気付いてはいけない真実に近付いているのかもしれない。
「アビゲイルねぇ……彼女、正気を削るって噂だけど、どうだったの?」
「まぁ、SANチェックものだったよね。それはそれとして来て欲しいんだけどね!!」
「本気ねぇ……でも、メルトリリス用の石じゃなかったの?」
「うぐっ……それはそうなんだけども……!!」
「私は止める気はないけど、良いの? 今を逃したら、次何時来るか分からないんでしょう? まぁ、年末に来るとも限らないけど」
「うぐぐ……い、いや。メルトは来てくれるはずだから……!!」
「希望は持つべきよ。でも、盲信はどうかと思うわ。私に溺れるのは許すけどね」
「凄いですよノッブさん。エウリュアレさん、盲信はダメって言った直後に自分になら盲信してもいいとか言ってますよ」
「大体いつもあんな感じじゃよ。放っておけ」
「そこ。聞こえてるわよ」
変なことをコソコソと話す二人に注意しつつ、エウリュアレはオオガミに目を向ける。
「それで、マスター? 今から引く? それとも、少し待って、様子を見てから引く?」
微笑み、問い掛ける女神。
オオガミは少し悩んだ後、
「……様子見だね」
「えぇ、えぇ。そうすると思ったわ」
エウリュアレは一人頷き、オオガミの判断に納得する。
ノッブとサンタジャンヌの抑え込みですら止まらなかったオオガミを、口先だけで止めるエウリュアレ。
それを見て二人は、
「儂、なんとなく、マスターの事はエウリュアレに投げれば良いんじゃないかと思ったんじゃが」
「奇遇ですね。私も、エウリュアレさんはトナカイさんのお世話係が一番なんじゃないかと思いました」
とりあえず、オオガミに蹴りを入れておこう。
そういう結論に至った。
エウリュアレの存在が際立つ……!!
まぁ、セイレムの番外編で煮え湯を飲まされたんで、あのときは吹き飛ばそうかと思いましたが。哪吒さんが全部片付けてくれましたよ。流石哪吒さん。
それにしても、流石星5……アビー……出てくれない……コフッ