「ただいまマシュ! メリクリ!」
「先輩! おかえりなさい! あと、クリスマスは一ヶ月近く後です!」
何故かサンタジャンヌを肩車して帰って来たオオガミに、満面の笑みで挨拶と突っ込みをいれる。
「それで、どうしてジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィさんが先輩の肩の上に?」
「そ、それは――――」
「それは、俺がトナカイさんだからだよ!」
「どういう訳じゃゴラー!」
横から吹っ飛んでくるノッブの飛び蹴り。
見事なまでに蹴り飛ばされたオオガミは、しかし、サンタジャンヌが一緒に吹き飛ばないように緊急回避でサンタジャンヌを空中に残して吹き飛ぶ。
ノッブはそれを見抜き、器用なことをするもんだ。と思いながらサンタジャンヌをキャッチする。
根本的に蹴りを避けるという発想はないのか。とノッブは思うが、それはそれ。蹴り飛ばした感触を思い出しながら、
「うむ。吹っ飛び良し。紛れもなく儂らのマスターじゃな!」
「はわわ……やはりカルデアは危険地帯……! どうしてマスターなのに容赦なく蹴り飛ばされてるんですか……!?」
「いやいや。儂、手加減したんじゃけど? いつもと同じくらいなんじゃけど」
「いつもあの威力!? なんでトナカイさんは死んでないんですか!!」
「ついに何故生きているかを問われるとは……流石儂の見込んだマスターじゃな!!」
「そんな意味で見込まれてもなぁ……!!」
ボロボロになって戻ってくるオオガミ。
なんだかんだ、サーヴァントに蹴られて無事なところを見るに、さてはほとんど人間をやめているな。と思わなくもないサンタジャンヌ達。
「と、トナカイさん……どうして無事なんですか? 普通、致命傷だと思うんですけど……」
「エルキドゥに助けられたのと、応急手当で誤魔化してる」
「い、医療班! トナカイさんが怪我してるっぽいんですけど!?」
「また先輩はカルデア内で怪我を負って……見てるこっちが不安になるんですから、止めてくださいと言ってるじゃないですか!」
「今回もノッブが原因だと思うんですけど!!」
「まぁ、確かに私もそう思うので、信長さんは後でお仕置きですからね。逃がしませんよ?」
「……儂、急用を思い出した。帰らせてもらうぞ!!」
颯爽と走り去るノッブ。しかし、誰も追いかけようとしないことを、サンタジャンヌは疑問に思う。
「あの、あのままだと逃げられてしまうんじゃ……」
「ノッブの逃げるところとか、大体決まってるし」
「やろうと思えばすぐにでも見つけられるので大丈夫ですよ」
「え、えぇ~……それって、もしかしなくても、常時観察されている状況なんですか?」
「いえ。あくまでもやろうと思えば、です。常時展開は、こう、経費が……」
「あ、それ以上は大丈夫です。なんとなく、私も理解しました」
マシュの言葉を遮り、納得するサンタジャンヌ。
そんなサンタジャンヌにオオガミは近付き、
「じゃあ、次の周回まで時間はあるし、遊ぼうか」
「……はい!」
そう言って、二人は部屋を出ていく。
と、寸前でオオガミは止まり、
「マシュもやることが終わったら一緒に遊ぼうよ。今回も頑張ってくれたしね」
「……はい! すぐに終わらせて行きます!!」
マシュは元気良く返事をし、残っている仕事を片付け始めるのだった。
オオガミがカルデアで話しているのが珍しいと思ってしまった私は一体……結構最近に出した気がするんだけど……うぅむ…。
しかし、着々と幼女組が増えていく……ジャックが来れば完璧なのに……!!