「うぅむ……」
「何を悩んでいるの?」
廊下で悩んでいるオオガミに声をかけるエウリュアレ。
マスターと会うなら、朝か夜ならばマイルーム。昼ならば廊下を歩けば見つかる。というのがサーヴァント内でささやかれている噂の一つらしいが、その真偽は定かではない。
「聖杯を使って早くエウリュアレのレベルを上げたいんだけど、種火が足りないんだよね」
「だから、なんで私のレベルを上げようとしてるのよ」
すでに二つ目の聖杯も捧げられ、ついにセイントグラフが金色に輝いたエウリュアレ。
だが、オオガミは当然のごとく育てることをやめないようだった。
「女神さま、強いし。メイン戦力だし。ランサーじゃなきゃ大体何とかしてくれるし」
「私はそんな強くないわよ…買い被り過ぎ」
「別にそれでもいいけどね。育てることに変わりはないし」
「意地でも育てる気なのね…」
「もちろん。女神さまにはこれからも頑張ってもらう予定だし」
当然のように言うオオガミ。
本来ならば攻撃力も殲滅力的にも弱いのであまり連れていないのだが、最近は異様なまでに連れて行こうとすることが多い。その理由は分からないが、何か考えているのだろう。とエウリュアレは推測する。
ただ、一つだけ、何かを誤魔化しているというのはわかっていた。
「はぁ……それで、種火でしょう?」
「うん。今月分のダ・ヴィンチ工房も尽きてるし、次の弓まで待つしかないか…」
「ランダムは選択外なのね」
「下手すると死んじゃうような種火集めは地獄でしょ」
「本音は別のところにあるんでしょう?」
「えっ」
突然の一言。エウリュアレは勝ち誇ったような表情で言う。
「知ってるのよ? 今日、聖晶石を集めていたじゃない」
「うぐっ」
「それに、また誰か召喚しようとしてるみたいじゃない」
「うぐぐっ!」
「まぁ、別に私は構わないけど、あなたが大丈夫なのかが気になるわ」
「そ、それは…大丈夫だよ。欲しいのはセイバーだしね…他の人にまで被害はいかないはずだし」
「ふぅん…まぁ、いいわ」
エウリュアレはそういうと、ふふ。と笑うと、少し進んで振り返る。
「私を楽しませてね。マスター」
「……その笑顔は卑怯だよ。エウリュアレ」
「女神の威厳を保つためにも必要なのよ。ふふ。じゃあ行きましょ、私のマスター?」
「…うん、そうだね。じゃあ、石集めかな」
「えぇ、頑張るわ」
エウリュアレに手を引かれ、オオガミは歩き出す。
目的地は絶対魔獣戦線バビロニア。魔獣殲滅へと向かうのだった。
聖晶石集めも、ついにバビロニアに到達…やばい、このままだと枯渇してしまう…!!
これはイベントがダメかもわからんですよ…