「では、第二回ノッブ制圧戦会議を始めるよ」
「正直、その題名だと儂を制圧するようにしか思えんのじゃが」
真剣な表情で言うオオガミにノッブがすかさず突っ込む。
「いやいや。さすがに
「本物とか言われると、儂の偽物が跋扈してそうじゃの」
「してるから本物って言われてるんでしょうが」
「そうなんじゃけど…」
「まぁまぁ信長さん。とりあえず、会議を続けましょう」
「ぬぅ…仕方ない。マスター。進めるのじゃ」
「なんとまぁ偉そうなんだ。このノッブ」
「偉そうじゃないのがいるのか?」
文句を言うノッブをなだめるマシュ。そして、若干追撃をする巌窟王。
現在この会議は、オオガミ、ノッブ、マシュ、巌窟王、エルキドゥの五人だけだ。
ナーサリーはメディアに連れて行ってもらった。今何をしているのかは分からない。
「まぁ、ノッブが偉そうなのはいつもの事としよう。うん。とりあえず、今日の目標はあれだよ。この前捕まえてきたちびノッブ達をもう一回捕まえて、ダ・ヴィンチちゃんの所に連れて行くことかな」
「ということは、捕らえてくるだけでいいのかな?」
「うん。ダ・ヴィンチちゃんが何とかしてくれるらしいし」
「そう。なら、すぐに終わるね」
「正直、
「いや、マスターがいるだけで士気力が変わるんだけどね」
「あ、それなら行かなくちゃか。よし、じゃあ行こうか」
「作戦とか、何も立てて無いんじゃが。これでいいのかカルデア」
出て行く全員の後ろを歩きながら、ノッブはそう呟いた。
今までもこれで勝ち進んできているので、何とも言えない現実があるのだが。
* * *
「で、とりあえず俺は爆発を受けないように後ろに下がって置こうか…」
「毎度顔面に張り付かれて爆発されとるよな。マスター」
「本当にね……捕獲の時も、様子を見に行くたびに爆発するし…」
「災難としか言いようがないの。全く」
「なんでマスターにだけあんなに襲い掛かるんでしょうか」
「次は無い様に俺が見張っていよう」
「巌窟王さん…お願いします」
マシュはそう言って巌窟王にオオガミを任せ、扉に向かう。
「では…参ります!」
扉が開く。直後、やはり飛び出てくるノッブたち。
無数のノッブをマシュとエルキドゥが押し返し、飛び上がってくるちびノッブを
「ちょ、完全に俺を狙ってるじゃんか!」
「ふん。動かないで良い。俺に任せろ」
オオガミが迫ってくるノッブを見て一歩下がると同時、巌窟王が間に割り込みちびノッブを掴むと、手に持っていた袋の中に放り込む。
その袋は、ダ・ヴィンチちゃんから貰って来た捕獲用の袋で、あまり構造は分からないが、爆発しても平気らしい。
「ふぅ。これで一安心だね」
「そうだな。おそらくあの一体だけが――――」
振り向き、オオガミを見ると同時に固まる巌窟王。
オオガミの頭の上には、すでに居たのだ。奴が。
「ノッブ!」
「マスター!」
「えっ?」
ボンッ! という音と共に、いつもの如くマスターは爆発に飲まれ、倒れるのだった。
「……呪いの類じゃろ。絶対」
ノッブはそれをちらりと確認し、思わず呟くのだった。
* * *
「うん。まぁ、そうなるんじゃないかって思ったよ。正面のは囮で、すでに背後にいるとか、誰も想像しないって」
「俺がいながら…すまない」
「僕もそっちまで手を回していれば…」
「もう爆発されるとかいう呪いに掛かってるじゃろ。絶対」
「そんな呪い嫌なんだけど。爆発される呪いとか、誰の攻撃だよ」
「知らんが、何か恨まれることでもしたんじゃろ」
「そんな……恨まれることなんて……してない、よ?」
「自信なさすぎじゃろ」
何とかノッブたちを全員回収して、マイルームに戻ってきたところだった。
案の定爆破されたオオガミは、数分気絶していたものの、すぐに目を覚まし、先ほどの会話につながる。
「それで、全部捕まえてダ・ヴィンチちゃんに届けたんだよね?」
「そうだよ。ノッブたちを入れた袋は、今はマシュが運んでくれてるよ」
「そう。なら良かった。後はダ・ヴィンチちゃんに任せようか」
「すまないマスター。俺が付いていながら…油断してしまった」
「まぁ、ミスは誰にもある事だし、気にする事は無いと思うよ」
「マスターはもっと自分の重要性を考えるべきじゃと思うがな」
「うっ。面目ない…」
ノッブの言葉がぐさりと突き刺さる。
「ま、まぁ、結果は全員無事だったし、良いじゃん。今日は解散にしよう。俺も疲れたし、仕事も終わったからね。問題無しだよ」
「うむ。じゃあ、儂も出て行くかの」
「そうだね。僕も部屋に戻ろうかな」
「俺も、今日は戻ろう。また明日会おう。マスター」
「うん。おやすみ~」
オオガミがそう言うと、三人はそれぞれ答えて部屋を出て行く。
「さて…このまま寝ようかな」
オオガミはそう呟いて、寝るのだった。
そして、報告のために部屋に寄ったマシュは、すでに寝ているオオガミを見て、明日報告することにしたのだった。
ホント、誰から受けた呪いですか。主人公を爆破したいとか…大体みんな思うじゃないですか!