「大体黒幕。正直うちのノッブとBB並の黒幕レベル」
「そりゃ、『とりあえず犯人』にしておけるしね。まぁ、うちにはいないから良いんじゃない?」
姫路城城内で、月を眺めつつそんな話をするオオガミとエウリュアレ、
今回も、無事真犯人で、且つ制裁を受けた謎の老紳士。
なお、彼は今回、マーリンとマシュ、エウリュアレの三人を倒したことから、オオガミは次出てきたら絶対容赦はしないと心に決めた。
具体的には、悩殺キルを目指す予定。
「で、今回の反省は?」
「慢心してマーリンをさっくり殺されたことと、うっかりマシュを殺させてしまったところと、普通に攻撃力というか、宝具回転速度が足りなくてエウリュアレを犠牲にしてしまったところとか?」
「そうね、正直でいいわ。じゃあそこにいなさい、私の宝具で撃ち殺してあげる」
「あの、ここで殺されたら反省を生かす場面がないんですが?」
「安心して。次の貴方はしっかりやってくれるわ」
「えっ!? どういうこと!? あと、死にたくないから逃げるよ!!」
「逃げられるものなら……ねっ!!」
「うわっ!! 本当に撃ってきたんだけど!?」
悲鳴を上げながら逃げるオオガミ。
姫路城城内での逃走は、当然敵が出現する。が、出て来た瞬間にエウリュアレの矢を受けて倒れて行く。
「今日はいつもより怒ってます!?」
「いいえ、むしろいつもより楽しいわ!! だからさっさと諦めて当たりなさい!!」
「当たったら死んじゃうような威力で撃たれてるのに当たるわけにいかないよ!?」
気付いたら眼前の壁に矢が刺さってる上に、横から飛び出してきた敵のこめかみにジャストヒットしているのだ。確かに絶好調。しかし、それはそれとして、怖い事に変わりはない。
「全く、私は別に貴方に当てる気は無いって」
「耳元で風切り音がしてるのにそんなこと言われても信じられないよね!?」
「むぅ……じゃあ、面倒だからこれでいいわね」
「え――――」
振り返ろうとした瞬間、勢いよく袖が引かれて、壁に縫い付けられる。
「……あぁ、これは、どうしようもない奴ですね。さよなら、今回の私」
「今回も次回もないわよ。というか、次回の貴方とか意味分からないわよ……」
「いや、こっちも分からないけども。どういう事なの……」
「……私も誰かに毒されていたかしら……」
「既にスイーツとノッブに毒されてる様な気がふっ!!」
最後まで言わせず、腹部に一撃拳を叩き込むエウリュアレ。守られるべき女神としての側面は何処へ行ってしまったのか。
「……あ、しまったわ。マスターが気絶しちゃった……どうしましょ」
思わず威力を出し過ぎたエウリュアレは、どうしたものかとしばらくおろおろした後、諦めて起きるのを待つのだった。
親の仇の如く狙われたマーリンと、フレジャンヌの宝具の使うタイミングをミスったために発生したマシュの轟沈と、まさかの通常攻撃で没したエウリュアレ様の三コンボで、とりあえずメドゥーサがトドメを刺してくれました。やったね。