今日のカルデアは静かねぇ……(あの、マスターが昏睡状態……)
「センパイ、寝てるんですよね。あれで」
「そうね。マスターは寝ているわ」
「エウリュアレもノッブもおらんから、吾は暇だ」
のんびりとした雰囲気を出す三人。曰く、お茶会だそうで、クッキーや小さいタルトを食べつつ紅茶を飲んでいる感じだった。
流石にマスターが倒れているときは暴れようとは思わないのか、大人しくしている。ノッブとエウリュアレがいないのも原因の一つかもしれないが、大人しいのは一応カルデアにとって良い事ではある。
「正直、自由組代表三人に加え、風紀委員組代表もいなくなりましたもんねぇ……」
「そーよそーよ。遊んでくれる人がもうバラキーしかいないのだわ!」
「吾もエウリュアレがおらぬからなぁ……って、汝と遊んでおったか……?」
「あら? 違かったの?」
「私から見ても、遊んでいるように見えたんですが」
「……吾、やっぱり鬼っぽくない気がしてきたのだが……」
「何を言っているの? 人間と仲良くなろうとする鬼だっているのよ? 泣いた赤鬼って、知ってるでしょ?」
「あれは吾の知っている鬼ではないわ!! あんな軟弱な鬼、母上に言われたのとまったく違う!! もっと鬼は傲慢で不遜で、強くなくてはならぬのだ!! 人間と友好関係を結ぶのではなく、蹂躙する心意気でいないのはおかしいではないか!!」
「うっわぁ……イバラキさんが言うと、冗談にしか聞こえないですね……」
「そもそも、それならノッブと話さないと思うの。もっとこう、ツンツンしてるべきだわ」
「う、む……それはそうなのだが……」
いつの間にか鬼の在り方への話へ変わり、茨木はその在り方を疑念に満ちた目で且つ自分でもぼんやりと分かってはいたことを指摘されて口ごもる。
「まぁ、バラキーはそういうものよね。ちょっと残念な感じがないと、バラキーじゃないわ」
「……吾、馬鹿にされていないか?」
「そんなことないわ。バラキーはバラキーだもの。ねぇ? BB」
「あ~……そうですねぇ~……まぁ、ポンコツな感じが茨木さんだというのは納得です。まぁ、泣いた赤鬼よりも凶暴ではありますけどね」
「ぬぐぐ……やはり吾、そんなに鬼っぽくないか……?」
「えぇ」
「とっても」
「うわああぁぁぁ!! なぜだあぁぁぁぁ!!」
鬼としてのプライドを直接攻撃されて倒れ伏す茨木。
しかし、日頃の行いがそうなのだから仕方ないだろう。
「まぁいいじゃない。バラキーはバラキーよ。普通の鬼とは違う、もっとスゴい恐れ方をされているもの」
「普通とは違う……もっとスゴい恐れ方……?」
「えぇ。ちょっと言えないけどね。何時かわかる時が来るわよ」
「むぅ……? どういう意味だ? 吾はすでに恐れられていると?」
「えぇ、そうよ。だから安心して、お茶会を続けましょ」
「……そうか、恐れられていたか……なら良し! 続けるぞ!」
満面の笑みで復活してくる茨木。
その一部始終を聞いていたBBは、『その恐れられてるって、可愛がられてるの間違いじゃないですか……?』と思ったのは、秘密である。
正直、肝が据わってるのか危機感を持っていないのか、それとも何か考えがあるのか分からないこの三人。とりあえずバラキーはポンコツ可愛い。異論は認める。