「雪原だよ! 寒いねエリちゃん!」
「分かっててやってるわよね!
「エリザよ。流石の余も、この極寒で水着はどうかと思うのだが……」
「いやいや。これはあれっしょ。ビキニアーマーってやつ? っていうか、その装備は勇者よりも女戦士って感じじゃん?」
何故か極寒と言いながらも楽しそうなオオガミに、何度も周回していることで体力を削られ続けているエリザベートが怒る。
ネロはそんなエリザベートの服装を見て何とも言えないような表情をしながら指摘し、鈴鹿は笑いながらそんなことを言う。
「違うわよ鈴鹿。これは女戦士じゃなくって勇者よ。
「まぁ、エリザがそう思ってるならそれで良いんだけど。女戦士装備の勇者いたっておかしくないしね」
「う、む……いやしかし、やはり薄着過ぎるような……
「う~ん、そうだなぁ……とりあえず、休憩のために洞窟まで戻る感じで」
「ちょっと、それは解決になってないわよ」
「くそぅ……やはりこの程度じゃこのエリちゃんは騙せないか……」
どのエリザベートでも騙せるわけではない。このエリザベートは、騙されていることに気付けるようだった。
「とはいっても、悲しいことに今あるのは魔術礼装くらいなんだよね……着てみる?」
「うぅ……今よりマシになるなら、それでも良いわ……頂戴?」
「はいはい。全く、そんな薄着になるからだよ。ランエリならもっと暖かかったでしょうに」
「そ、それはそれ、これはこれなのよ……! 勇者として名が売れれば、ライブに来てくれる人も増えるって、算段よ」
「む。やはり余のライバル……面白いことを思い付くではないか。ならば、余も対抗して何かを成さねばならぬな」
「何言ってるんですかネロ様。この前大運動会したばかりでしょう?」
「それはそれ、これはこれ。というものだ
「えぇそうよ! そして、その時こそ!
ガシッ! とお互いの手を取り合うネロとエリザベート。
それを見ていたオオガミは苦笑いをし、鈴鹿は戦慄の表情で、
「ねぇ、私の記憶だと、あの二人の歌って、かなりヤバかった気がするんだけど……」
「ハハハ……いや、これは中々不味いかもしれない……? あれ、いつものことかな……?」
冷静に考えると、これまでも何度かライブが開催されているような気がするので、今更と言えなくもなく、実際にやったときはその場に居合わせた全員が倒れ伏すだけだったので問題はないかもしれない。
幸い死者はいないのだ。せめて物が壊れても良いようにシミュレーションエリアでライブをやって貰うのが一番だろう。
なので、オオガミは止めるように説得しようとは思わないのだった。
しかし、未だに種火は交換されていないのである。
とりあえず礼装を揃えないといけないと思い、周回している私ですよ。くそぅ……ドロップ礼装が足りないぜ……!!