「後砂金じゃあぁぁぁぁ!!」
「覚悟しろメディナリィィィィィ!!!」
「それ私が狙われてる感じなんだけど!?」
ノッブとオオガミの叫びに、編成の中にいないメディアが悲鳴を上げる。
確かに自分と全く同じような容姿の人間が全力で叩き潰されているのなら、悲鳴の一つも上げるだろう。
「メディナリを倒せば砂金が落ちる! これ、世界の常識!!」
「ゆえに! 儂らは一片の容赦も無くメディナリを屠る!!」
「「それが
「そんな義務いらないわよ!!」
半分泣きが入るメディア。外側から見てるだけでもひどいようだった。
「全力じゃ全力! 一片の容赦も無く全力で倒すんじゃ!!」
「さらばメディナリ! 我らの前に立ったことを後悔するがいい!!」
「少しは容赦しなさいっていうか見てて死にたくなるから止めてっ!!」
悪魔の様な顔でメディナリを吹き飛ばしていくノッブとオオガミを見て精神ダメージを受けて心を痛めるメディア。
もう悪魔を止める方法は無いのか。時間がすべてを解決してくれるのか。ならばもう、泣き寝入りするしかない。
その結論に至ったメディアは、逃げるようにその場を立ち去る。
「いやぁ……容赦ないねぇ。二人とも」
「本当です。先輩はもっと自重してほしいです」
「そう? あれがマスターの良い所じゃない」
「エウリュアレさんは先輩に甘すぎです。しっかりと言うところは言わないと、ダメになってしまいますよ」
「マシュはマスターの扱いを心得ているっぽいねぇ。二人でいくつもの特異点を越えてきただけはあるね」
「そ、そんなことないですよ!」
「そうなん? 茶々はマシュがいるからマスターは自由に暴れてると思うんだけど?」
途中からマシュをいじり始めたドレイク、エウリュアレ、茶々の3人は、ドレイクを除き後衛待機組だ。
基本仕事は回ってこないので、こうやって話していた。
「それで、さっきメディアが行ってしまったけど、よかったの?」
「そもそもメディアさんはパーティーに編成されてないので、休憩中のはずだったんですが…なんで居たのでしょうか…」
「根本的にパーティーに無関係だったのに居たの?」
「案外自由度が高いわよ。マスターとサーヴァントという関係はあっても、してはならないことなんて、そんなに無いもの」
「マスターがあんなだしねぇ。多少の事は目をつぶられるのさ」
「本当はそれじゃあダメなんですけどね…」
「でも、別にそういうところも嫌いじゃないんでしょう?」
「それは……そうですけど。でも、しっかりとしてもらいたいっていうのは本当ですよ」
「まぁ、マスターも分かっててやってる部分があるからねぇ……まぁ、お互い無理しすぎない程度にやるのが一番さ」
「ほら、二人が戻ってくるわよ。行ってきなさいな」
「行くって…どうしてですか?」
「変な所で鈍感ねぇ…いいから行ってくる!」
「うわわ! っとと。いきなり押さないでください!!」
頬を膨らませ怒っているように見せるマシュ。
しかし、
「マシュ? どうかしたの?」
「あ、先輩。いえ、別に何かあったというわけではないのですが…その……お疲れ様です」
「あはは。まだ終わってないけどね。でもまぁ、ありがとう。今日はもう諦めて、明日に全力を出すことにするよ」
「はい。頑張ってください。先輩!」
その二人の横を通り過ぎたノッブは、にやにやと笑っている3人に声をかける。
「何を企んでおるんじゃお主らは。全く、儂の出番を奪い去りおって」
「知らないわよ。貴方の事情なんて」
「アタシらは別に何もしてないからね」
「茶々は本当にほとんど会話に参加できてなかったよ!」
「……まぁ、良いんじゃけどな」
ノッブはそう言って、オオガミとマシュを見る。
二人とも楽しそうに見えたのは、幻覚などではない事実なのだろう。
メインヒロインはいない。今のところはね。
ノッブがメインヒロインに見えなくもないのは、完全にイベントキャラだからと言って使いまくってるのが原因だと思った。マル。