「ふむ……いい加減、その布、剥がしたいんじゃけど」
「ヤメルノデス……ヤメルノデス……」
「えいっ、えいっ」
「ヤ、ヤメ……ヤメルノデス……!!」
「メジェド様の化身とか言ってるけど、無視で行こう」
「フケイ…!! フケイナルゾ……!! フケイ、ダメ、ゼッタイ……!!」
容赦のない三方向からの攻撃。メジェド様の化身(仮称)は、めくられそうになる布を必死で抑えるが、かなり筋力値的に不利なのか、徐々に持ちあがってきている感じがする。
「クックック……堪忍するが良い……」
「ウフフフフフ。諦めてやられなさい……」
「……まぁ、霊基再臨すればいいだけなんだけどね」
「ソウデス……!! ハヤク、霊基再臨ヲ……!!」
「問題は、種火無いくらいだよね」
「ダメじゃないですか!!」
「普通に喋るではないか!!」
「最初からそうしなさいよ!!」
「ハッ! い、イエ。ワタシハメジェドサマノケシン。コレデ、タダシイノデス」
「何言ってるのこの子。なんかもう、全体的にずれてるわよ」
もう面倒になったのか、布を剥がすのは止めたらしい。
「……あ。そういえば、まだ期間限定の種火があそこにあるじゃない。ダ・ヴィンチちゃん工房に」
「あ~……そういえばあったねぇ。じゃあ、取って来るよ」
「エッ」
「儂も運ぶのを手伝うぞ」
「お願いするよ」
「エッ」
「って事で、待ってなさいね」
「エッ」
自然と、逃げられない構図。というか、明らかに逃がすつもりは無いようだった。意地でもその布の下を見る気満々である。
「貴女も、面倒なのに絡まれたわねぇ」
「……アナタモソノメンドウナヤツカト」
「……シバくわよ?」
「ソレハ、オコトワリデス」
「その面倒な布、取り払いましょうか」
「……タタキツブシテクレマショウ」
「二人とも、暴れるのはいいけど、エルキドゥがすぐ来るわよ?」
「ゲッ、あいつが来るのは流石に困るわ。あの神性キラー、鬱陶しい事この上ないもの」
「ワタシモ、イヤデス」
「じゃ、おとなしくしてなさい。何時も問題起こしてるからこそ、アレがどのタイミングで来るのか分かってるしね」
「私を狙うよりも、貴方達を狙うべきじゃないかしら……」
「貴女が来るまで散々狙われてたというか、監視されてたわよ」
「既にされてたのね……」
一体、どこから見ているのか分からないが、とりあえず暴れようとすると大抵その場に現れたりする。ただ、たまに来ない時があったりするので、そのタイミングは暴れるだけ暴れ、あの地にバレて叩きのめされるまでがワンセットだ。
「たっだいま~!」
「この種火で、その布、剥がしてくれようぞ!」
「じゃあ、第二回戦ね。ちなみに、これはあくまでも強化しようとしてるだけだからエルキドゥは来ないわ。観念しなさい」
「ふ、フケイ、ダメ、ゼッタイ……!! ソノ、ブキミナテノウゴキヲ、ヤメルノデス!!」
「お断りっ!!」
「取り押さえるのじゃ!!」
「にげられるとは思わないことね!!」
ノッブとエウリュアレに取り押さえられ、メジェド様の化身は逃げられなくなる。
「とりあえず、第一再臨からだよ!」
「ソ、ソンナ……目が怖いのですけどぉ!!」
その後、なんだかんだで第二再臨までさせられたのだとか。
期間限定種火を交換してないのと、メジェド様の化身を成長させたい欲が見事に噛み合わさり、今回の事件が起こるのだった……
しかし、この三人は明らかに問題児……まぁ、今更なんですけどね。暴走が留まるところを知らないようで……