「ねぇ……エルキドゥに勝てる?」
「ハッハッハ。特殊独房に閉じ込められてるにも関わらず、監獄内全域を把握してたエルキドゥさんに勝てるかって? 無理だね!」
「威張る所じゃないでしょうがっ!」
エウリュアレの疑問にドヤ顔で無理だと答えるオオガミに、思わず腹に殴りかかるエウリュアレ。
オオガミはそれに直撃し、しかも鳩尾にしっかりと入るというクリティカルダメージによって崩れ落ちる。
なお、それを見て茨木が大笑いしている模様。
「全く……まぁ、私も勝てるとは思わないんだけど、これだとノッブとBBが新しい武器を作っても意味ないんじゃないかしら」
「ん~……神代の兵器は性能が段違いって事だよね……うぅ、まだ痛い……」
「大地の恩恵とはまた、本当に面白い奴だのぅ……で、件の兵器は何処じゃ?」
「エルキドゥは独房に置いてきたよ! 神の本を読みたいって!!」
「だからって普通置いてくるかしら……」
「神の本……面白いのかしら?」
ハッキリと置いてきたと言うオオガミにエウリュアレは頭を抱え、それとは別に、突然隣に現れて神の本を気にするナーサリー。
「ねぇ、最近、突然現れるのがブームになってるのかしら……」
「吾には分からぬが……エウリュアレもやってみたら良いのではないか?」
「そうね……今度試してみるわ」
「うむ。吾もしてみるか……」
「……あれ? 貴女はやってなかったかしら?」
「む? そうだったかのぅ?」
もしやっていたとしても、きっとそんなに印象に残る様な出方をしてないのだろう。と二人は思うのだった。
「ふぅ。それにしても、ゴルゴーンにエルキドゥが厳重封印されてるなんてねぇ。明らかにバビロニア勢が多い気がするわ。っていうか、よくイシュタルの分体について言及しなかったわね……彼なら気付いててもおかしくないでしょうに」
「あはは……見逃してくれたんじゃないかな?」
「分体だと感じにくいのかもしれないわね。まぁ、喧嘩にならなくてよかったわ。もうしばらくは楽しく見守っていられそうね」
「脱獄レースも後半戦。ワクワクするね!」
「うむ。吾も楽しみだ。というか、吾もやりたいのだが」
「ん~……バラキーは後で遊ぶ場所があるから待ってて」
「むぅ……仕方ない。もう少し待とうではないか」
「石が足りないけど、まぁ何とかなるよ」
「……不安になる様な事を言うでないわ。もっと自信を持って言うが良い」
「えぇ……絶対の自信を持って言うのは、全スキルがMAXになってからじゃないかな」
「ぐぬぬ……どうしてそう弱気なのだ!! えぇい、その性根、吾が叩きなおしてやるわ!!」
「うわぁ!? バラキーが怒ったぁ!?」
炎を纏い、オオガミを追いかける茨木をみて、エウリュアレは頭を抱え、ナーサリーはそんなものが見えてないかのようにマシュを探しに行ってしまった。おそらく、神の本を見て見たいので、頼れるマシュを探しに行ったのだろう。
「はぁ……どうしてこう、騒がしいのかしらね。楽しそうだからいいのだけれど」
エルキドゥさん、強すぎじゃないです? 感知能力強すぎるんですが……こんなの、勝ち目無いよぅ……
それと、最近バラキーに若干の威厳が見え隠れしてきたような……気のせい……?