「儂のターンじゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ダサTなのにカッコいいぃぃぁぁぁぁ!!!」
「叔母上もバーサーカーだぁ!」
テレビに映し出された水着鯖一覧を前に、腰に手を当て胸を張りながら大声で喜ぶノッブ。
そして、その背後で目を輝かせながら喜ぶオオガミと茶々。
「ふははは!! 沖田がおらんのがちと気になるが、まぁそんなことはどうでもいいんじゃ!! レースじゃぞレース!! これはもう、儂がダントツ一位しかないじゃろ!!」
「えっ?」
「えっ」
「えぇ?」
「……え?」
予想外とでも言いたげなオオガミの呟きに、思わず聞き返すノッブ。
それを二度繰り返し、苦笑いで硬直するノッブ。
「いや、まさかお主、儂を応援しないわけじゃあるまいな?」
「いやいや、ほら。ノッブはロケットじゃん。あれで負けるとか、思ってないから。だからほら、頑張って! 俺はネロの所に行ってるから!」
「よし分かった。水着の儂が来たら、まず最初にマスターを殴り飛ばす。んで、おまけでネロも殴り飛ばしに行こう」
「そ、それはあれです? 『儂、来ないんだからねっ!』っていう奴です?」
「んなツンデレもどき、誰がするか。お主には拳で十分じゃろ」
「おぅノブナガさん? 流石の私も、ノブナガさんのパンチは死んでしまいまーす。マジで止めてくださーい」
「うむ。許さん」
「あっ。死んだなこれ」
「伯母上! 死ぬかどうかのギリギリじゃないと、エルキドゥに殺られるからね!」
明らかな殺意の炎を瞳に宿し、拳をポキポキと鳴らしながらオオガミを見下ろすノッブ。
オオガミはじりじりと後ろに下がって逃げようとするが、後ろから抱き着いてきた茶々の手によって阻まれる。
「あっはははは」
「ふふふふふふ」
「えっとぉ……よし。ここは素直に諦めよう」
「ふむ? 潔いんじゃな。して、儂がそれで止まるとでも?」
「いやいや、まさか。ノッブが止まるわけないよ。という事で、ヘルプミー! エルキドゥ!!」
「ぬわっ!?」
「ちょ、えぇぇ!?」
エルキドゥの名を呼ぶオオガミ。
当然、エルキドゥを呼ばれたらノッブ達は勝ち目がないわけで、ここは逃げるしかないという結論に至る。
「なんだい? マスター」
「茶々! 撤退じゃ!! 水着イベントまで隠れるぞ!!」
「了解!」
エルキドゥが、さも当然の様に天井から現れると同時、全力で逃走するノッブと茶々。
その逃走速度は目を見張るものがあったが、それはそれとして、エルキドゥは問答無用で扉に鎖を突き刺して文字通り封鎖する。
「さて……それじゃあ少し、お話をしようか」
「は、ハハハ……マスター。これは流石に予想外じゃったぞ……」
「ふふん。そりゃそうだよ。だって――――」
「マスターもだよ?」
「――――共倒れだもん」
「こいつ阿保じゃ!!」
「茶々も巻き込まれてるんですけどぉ!?」
喧嘩両成敗。
とは言うものの、今回の一件に関していえば、オオガミが全面的に悪いと言えなくも無いので、オオガミは別室行きとなるのだった。
はたして、オオガミはノッブを応援するのか、それとも当初の予定通りネロを応援するのか……
とりあえず、オオガミは別室で袋叩きにしておきますね。