「ついに私の宝具レベルがマックスだよ!」
わーい! わーい! と両手を上げて喜ぶ茶々。その手には扇が握られていた。
扇は交換したものを別口で沖田さんから買い取ったらしく、その資金がどこから出てきたのかは誰も知らない。オオガミも同様だった。
「良かったのぅ茶々。所でマスター。儂のスキル強化は何時じゃ?」
「強欲すぎるなこの第六天魔王!」
「それが伯母上の魅力のひとつだし!」
「洗脳されてらっしゃる!」
「誰が誰を洗脳したのじゃ。ほれ、言ってみよ。ほれほれ」
ほぼオオガミの言葉と同時にオオガミの正面に移動したノッブは、手に持った火縄銃でオオガミの頭をコツコツと叩きながら聞く。
「イヤー。ノッブハスゴイヨー。シュウカイモガンバッテルシー」
「なんじゃその棒読み感全開な台詞は。そんな世辞で儂は許さんぞ」
「頑張ってくれてるのは事実なんだけどねぇ…」
「そういう割には育てられて無いではないか」
「皆基本的にそうだよ!?」
最古参のエリザベートが未だにレベルマックスではなく、スキルレベルも5~4という事から、察する事が出来る事だった。
最高スキルレベルがアーラシュの弓矢作成で8止まりである。ノッブのスキルレベルがこの短期間で6~5まで上げられていること自体が不自然なのである。
「全く…一体いつになったら儂の最強無敵がしゃ髑髏は完成するのじゃ」
「とりあえずまずは石を集める所からじゃない…?」
「それのせいでスキルが一つだけ5だしの。骨もいつの間にか減っておるし!」
「アレは俺にとっても想定外だったけども。まさかあんなにアッサリ消えるとは…舐めてたよ…」
「儂もびっくりじゃ…まぁ、骨なら何とかなるじゃろ。それよりも石じゃ」
「アレは月曜日だからねぇ」
「今からはどうしようもないか…しかし、来週には出来るじゃろ」
「いや、再来週かな。限界までアイテム収集するから」
「なん…じゃと…!?」
驚愕の表情に染まるノッブ。
「そりゃ、イベント中なんだからイベントするでしょ。まぁ、月曜日までに全部集まればやらないと思うけど」
「そ、それなら急いでやらねばではないか! 儂のパワーアップの為に全力を出さねば!」
「嫌だ! 今日はもう行かないから!」
「なぜじゃ! 今から行っても良いでは無いか!」
「眠いから仕方ないね! 寝させておくれよ!」
「ぐぬ…仕方ない…明日は全力で回るぞ! 良いな!?」
「えぇ…仕方ないなぁ…」
「なんでそうやる気が無さそうなんじゃ!」
「そりゃ、のんびりやるつもりだったからじゃないかな?」
「昨日と言ってることが違うではないか!!」
「いや、ドストレートにブーメランだよノッブ」
自分もこの前働きたくないと言っていた翌日に出撃させろと言っていた。確実にその事を言っていた。
「うぐぐ…仕方ないの。なら今日は諦めるのじゃ…明日から頑張るぞ!」
「おー。じゃあ、お休み~」
すかさずオオガミはベッドに飛び込む。どうやら本気で眠かったようだった。
「仕方ない…茶々。儂と一緒に出るぞ。部屋の前は結構面白いからの」
「え、部屋の前の方が面白いの? 何それ気になる。茶々も行くー」
そうして、二人は部屋を出るのだった。
いつもの様に今日一番言いたかったことが最初に少しだけやって残りを遊びまくるという安定の状況。
メインは茶々の宝具威力がマックスになったってことですね。
ノッブが出張りすぎ…?