「エミヤ~~!!」
食堂に入ってくるオオガミ。
もう人はほとんどおらず、席にはエウリュアレと茨木がぽつんといるくらいだった。
そして、厨房ではエミヤが何かを作っているようだった。
「なんだねマスター。もしかして、エウリュアレ達と同じようにデザートを求めてきたのか?」
「えっ。エウリュアレ、そんなことをしてたの……?」
「そうだが……同じもので良いなら、マスターも食べるか?」
「むっ。エミヤが大丈夫ならお願いしますです」
「了解した。少し待っていろ」
エウリュアレ達が要求しているのなら、同じところで待っているのが良いだろう。という判断で、エウリュアレの前の席に座る。
「なによ。貴方もパフェを食べに来たの?」
「いや、まぁ、そんな所かな?」
「ふぅん? まぁ、私は貴方の作ったものと、彼が作ったもの。どちらがおいしいかを食べ比べたかっただけなんだけどね」
「む、むぅ……エミヤと比べられると、明らかに差が大きすぎる気がするんだけど……」
「まぁ、その時はその時よ」
「吾はうまいものなら構わぬ。マスターが作ろうが、あやつが作ろうが、な」
「私もそんなものよ。楽しみねぇ?」
「あっれぇ……? さらっと、エミヤと張り合えっていう雰囲気があるなぁ……?」
「うふふふふ……」
「ククククク……」
「あはは……というか、そんなものを軽くもう一つ作るかって聞いてくるエミヤさんパネェっす」
意味深に笑う二人に、苦笑いになるオオガミ。
そんなことを話していると、エミヤがこちらにやってきた。
「前にマスターがイチゴのパフェを作っていたらしいからな。こちらはチョコで作ってみた。口に合えばいいのだが」
「おぉ~! 流石料理英霊ね。見た目も中々だわ」
「おぉ……うまそうなパフェよなぁ……」
「料理英霊って……せめて料理長って呼ぼうよ」
「いや、マスター。根本的に、私は料理人として召喚された覚えはないのだが」
チョコをメインに使用したパフェに目を奪われる三人。
だが、その反応を見て、エミヤは呼ばれ方にどうも思うところがあるらしかったが、オオガミがきょとんとした表情で、
「え? いや、だって、ほら。エミヤは料理がうまいから」
「た、確かに、比較的にうまい方ではあると思うが、それはそれだろう?」
「だって、イベントでも料理長だったし……」
「そうよ。いい加減、諦めて認めなさい」
「だが、私も英霊の矜持と言うものがな……」
「それに、今日の用事は料理を教えてもらいに来たんだし」
「…………」
当然の如く言ってくるオオガミに、さすがのエミヤも、思わず目頭を押さえるレベルだった。
「もう、何も言うまい。マスター。料理に関しては明日の仕込みもかねて教えるから、食べ終わったら厨房に来てくれ」
「了解!」
そう言うと、エミヤは厨房に戻って行くのだった。
たまにやる人と、本格的にやっている人。そりゃ、後者の方が勝つと思うんです。
エミヤはもうしばらく戦闘はしない予定なんで、特異点での食事はまだエミヤ無しが続くわけです……