「聞いてくれオベロン。この時期はしばらく厨房に立てなくなるんだ」
「……サーヴァント相手に菓子を作らなくて良くなったじゃん。問題あるわけ? あと重い。どけよ」
当然のようにベッドを占領するオベロンに寄りかかっているオオガミ。
その顔は悲壮感たっぷりだが、オベロンはそんなこと関係なく邪魔そうに押し返していた。
「問題あるんだよ。見ればわかるように、この時期はエウリュアレもいなくなるわけです」
「……お前、ホントキモいね。そういうところ、どうかと思うんだけど」
「ちなみにキャストリアも一緒らしいよ」
「いや知らないけど。それオレに関係ないでしょ」
「仲良く料理してるのを見に行きたいかなと思って」
「……別に。興味ないし」
「へぇ……そっか」
壁の方を向くように寝返りを打つオベロン。
オオガミは楽しそうに笑みを浮かべつつ、
「とりあえず、女性陣が厨房に集まってるから、暇そうな男性陣誘って遊ぼうか」
「そ。行ってくれば?」
「いやいや、オベロンも行くんだぜ?」
「はぁ? 行かないけど? なんで行くのが前提みたいに言ってるんだ?」
「そりゃ、行くって言ってるんだからついてくるでしょ」
「クソみたいな言い分やめろ。行くわけ無いだろ。あのクソ女神と一緒にするなよ?」
「いや別に、一緒にしてないけど……エウリュアレなら何も言わなくても一緒に来るどころか先行して歩くから比較対象にすらならないよ?」
「そういう意味じゃないが、それはそれでどうなんだ……」
「実はエウリュアレも妖精眼をもってるのかもしれないね」
「マスター特化なだけだっての。やれやれ重症だね。医務室に行くかい?」
「やめとく。その話をすると命を狙われるからね。オベロンも知ってるでしょ?」
「医務室とは名ばかりの処刑台だねあそこは」
そう言って、盛大にため息を吐くオベロン。
オオガミは苦笑いをしながら、
「そこまでは言わないけどね。で、オベロン。やりたいことある?」
「……寝る」
「いやいや、遊ぼうよオベロン。スピードスターの力見せつけようぜ?」
「それ、ブランカが速いだけでオレ自身はそんな速くもないんだよね。というか、ここに来てから一回も妖精王として戦ったこと無くない?」
「愛され上手な終末装置だからね。それに、なんだか妖精王姿は見たくなくて」
「……まぁ、このままでいいなら、それで構わないけどね」
オベロンはそう言うと、仕方なさそうに立ち上がり、
「イアソンのところに行くんだろ? はやく行くぞマスター」
「え、急に行く気になるじゃん……ってはやいはやい! スピードスターはやいって!」
スタスタと早歩きで行くオベロンを、オオガミは追いかけるのだった。
もうすぐバレンタイン……今年は誰が実装されるのか……!
アーケードでメルトが出て、行きたい気持ちはあるもののあの手のゲームは後ろが怖くなるので行けないジレンマ。家庭機を出してくれても良いのよ……?