「宝物庫め……QPを出し渋りおって……!!」
「いやぁ……少し前まで、自分とはまだ縁遠いと思っていた頃が懐かしいなぁ……」
「そんなに昔でもないでしょ……」
「吾としては、まだ足りぬ……奪い尽せぬというのは、悔しいものよな……」
宝物庫に突撃をしてQPを奪っていくオオガミ達。
ちなみに、実働部隊はドレイク船長とリップなので、ノッブ達は完全に関係なかった。
唯一関係があるとしたら、後衛にいるエウリュアレくらいだろう。
「(しかし……あとちょっとなんだけどなぁ……)」
「……な、何よ?」
「いや、何でもないよ?」
絆ポイントを見つつ、この少しが埋まらない感覚に何となくイライラしてるオオガミ。
エウリュアレの絆MAXまで、残りは約5万。メインクエストのような、絆ポイントが多いクエストに出ているわけではないから、それも仕方のない事なのだろう。
「ねぇノッブ? 最近、マスターの視線が怖いのだけど」
「ふむ? お主、何やらかしたんじゃ」
「そうやってすぐさま私を疑うのはどうかと思うのだけど」
「まぁ、信頼の表れとでも思うんじゃな」
「真っ先に自分の事を疑ってくる信頼なんていらないわよ……」
「日頃の行いという事じゃ」
頬を膨らませつつ文句を言うエウリュアレ。しかし、ノッブのマントの中に隠れながら言っているので、威厳は完全に欠片も無い。
「ククク……して、次の襲撃は何時だ? 吾は楽しみでたまらんぞ……」
「ん~……まぁ、流石に今日は終わりかなぁ……」
「む。つまらぬな……」
「流石に果実を食べるつもりないからねぇ……」
「ぬぅ……ならば、仕方ないか……明日も当然行くであろうな?」
「そりゃ……あ、いや、種火回収だね。QPはまた今度だ」
「ぬぉ、本気か……!?」
「まぁ、順番があるんだよ。QPはまだ最優先じゃないしね」
「ぐぬぬ……仕方なし……次を待つか……」
少し悲しそうな顔で諦める茨木を見て、苦笑いになるオオガミ。今度、エミヤに何か作ってもらおうと思うのだった。
「という事は、またここで野営?」
「そうなるね」
「えぇ~……私だけでも帰りたいんだけど……」
「何言っとるんじゃ。儂らのマスターじゃぞ? 放って置いたらどこでぽっくり死ぬかわかったもんじゃないじゃろ?」
「こやつにはもっと強くなってもらわねば困るからな……このような所で死なれたらかなわぬ」
「いや、私関係ないじゃない」
「そうでもないぞ? なんせ、マスターが死ぬと、お主の好きなお菓子類が食べられなくなるからな」
「――――!!」
「……それは許せぬな」
「えぇ、許せないわ。これは是が非でも連れて帰らないと」
「うむ。その意気じゃ」
「……命を助けられる理由がお菓子とは……」
自分の命の価値とは。とオオガミは考えつつも、とりあえず指示を出して薪を取りに行くのだった。
お菓子のおかげで生き残れる不思議。うちのカルデアらしいといえば、うちのカルデアらしい……