今年はそんなにコラボ要素強くないかも……?
「メリュジーヌ。ステイ。飛び出さないで?」
「でもアイツは討伐対象でしょ? 狩らなきゃ……」
「いやあれは別。別だから。ほら、あっちでリヴァイアサンを可愛がってていいから」
休憩室にて、今にも飛び出そうとするメリュジーヌを抱え上げ、遠巻きにこちらを見ていたラムダに引き渡すオオガミ。
ラムダは呆れたようにため息を吐き、何羽かのペンギン――――もとい、リヴァイアサンを呼び出してメリュジーヌを拘束する。
メリュジーヌが落ち着いたのを確認すると、今の一連の騒動に目もくれず、エウリュアレと話しているコヤンスカヤに目を向ける。
「それで、今年は中止?」
「う~ん、この話をせずとも伝わっているかのような感じが、とてつもなく気持ち悪くて最高にイヤですが、えぇはい。お答えいたします。今年は中止ではなく映像だけを、とのことで。こちら側の問題で招待できないことを残念に思います」
「なるほど。まぁ、事情があるならしょうがない。というか、当然のように招待されるだろうと思ってる方がおかしいのか」
「ゲストライブも立て続けにしてしまえばありがたみがないもの。こういうのは時々でいいってことよ」
「何か違うような気がするけどね……?」
一人満足げに言うエウリュアレに苦笑いを返しつつ、オオガミはどこからともなく皿に乗せられたクッキーを取り出すと、机の上に置く。
エウリュアレは躊躇なくそれを食べつつ、
「で、どうやって見るかは聞いたかしら」
「ごめんエウリュアレ。エウリュアレは説明を受けたかもしれないけど、こっちは今ここに来て会ったばっかりなんだよね。口頭説明だけ?」
「資料とかあったわ。工房に置いてきたけど」
「う~ん自由! BB持ってきて!」
そういうオオガミに、怪訝そうな視線を向けるコヤンスカヤ。
今部屋にいるのはオオガミにエウリュアレ、コヤンスカヤと隣に座っているナーサリーに、離れたところでこちらを見ているラムダとメリュジーヌだけ。
すると、オオガミの背後に門が開き、ぬるりとBBが現れる。
「なんで私がいるのが前提なんですか。センパイはもうちょっと自力でどうにかしてください」
「ここまでずっと他力本願みたいな戦いだったし今さらかなって。資料ありがとね」
「はいはい。あ、ちなみに、こっちか向こうへのアクセスも出来ませんので。飛び入り参加は絶対不可能なのでそこのところわかってくださいね」
「オッケー。いや、招待されてないなら行くつもりもないけどね」
「行けたら本気で行くつもりだったでしょうに……」
「あはは。いやまさか」
そう言ってはぐらかすオオガミに、BBはため息を吐き、
「アビーさんでも無理でしたからね」
「死ぬほど信用無いじゃん……!」
オオガミの嘆きの声を聞きつつ、BBは門の中へと帰っていくのだった。
それを見送ったオオガミは、改めてコヤンスカヤに向き直ると、
「さて、それじゃあどうやって見ればいいのかな。説明してもらえる?」
「えぇ、承りましたわ」
コヤンスカヤは笑顔でそう答えながら、オオガミの隣でナーサリーと共にクッキーを食べているエウリュアレをチラリと見て、昨日の説明は何だったのだろうかと思うのだった。
最近フリーダムに磨きがかかっているうちの女神様。