「おや、エウリュアレさん一人だけです?」
「あらBB。残念だけど、オオガミはメリュジーヌと出掛けてるわよ」
オオガミの部屋で一人ベッドに寝ているエウリュアレ。
BBは言われたことに納得すると、
「まぁ、聞いた話では大活躍だったらしいですから、そういうこともありますか」
「えぇ。報酬に何が欲しいかを聞かれて即答したもの。離れたところで聞いていたモルガンが、それはもうすごい顔をしてたわ」
「あぁ、その光景が目に浮かびますねぇ……ちなみに、同じく大活躍してたらしいキャストリアさんとオベロンさんは?」
「二人とも休暇を申請して、キャストリアは却下されてたわ」
「エグいことしますね……」
「えぇ。私も指摘したわよ? そしたら、彼女は休憩も仕事だって。今は食堂でデザート三昧よ」
「……なんだか面倒なことしてますね」
「本当にね。今は種火周回に彼女はいらないから、しばらくは休憩よ」
「素直じゃないですねホント」
そう言って笑うBBに、エウリュアレは呆れたような目を向ける。
そして、意を決したように立ち上がると、
「で、何の用で来たのかしら」
「あ~……お客さんが、来てるんですよねぇ……」
「……私が対処すればいいのかしら」
「ん~……出来ればセンパイに対処して欲しいですけど、まぁエウリュアレさんなら大丈夫ですかね」
「誰が来てるのよ」
「いつものところから来た人たちですね」
* * *
「どうも。お世話になっております~」
「まぁ! マスターさんではなくアリスのようにかわいらしい女神様がやってきたわ!」
ノッブたちの工房の一室で優雅に紅茶を飲んでいるコヤンスカヤとナーサリー。
いつものところ、とBBが言っていたことから、エウリュアレは大体の流れを想像する。
「今日は大晦日のことかしら」
「おや、もしかしてご存じでした?」
「いいえ? 何にも知らないわ。でも、去年はあったもの。今年もあると思うじゃない?」
「ふむ。そういわれるとそうですね」
「えぇ。でも、あなたたちが来るということは今年は歌えないのかしらね」
椅子に座りながらそう聞くエウリュアレ。
コヤンスカヤは微笑みながら、
「歌いたかったのですか?」
「少しだけね。ちょっとは練習したのよ? 使う機会はまだないのだけど」
「そうですか……それは残念です。こちらも少々立て込んでまして、大変申し訳ないのですが招待ができなくなっておりまして。ですので、またの機会によろしくお願いいたします」
「まぁ、そっちにも事情はあるでしょうし、構わないのだけど。それで、どういう用事なのかしら」
「はい。では、ご説明させていただきますね」
彼女はそういうと、資料を出しながら説明を始めるのだった。
メリュ子は最強なので! 最強なので!!!!