今日のカルデア   作:大神 龍

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ちょっと遠出をしませんか(珍しいお誘いだね)

「意外と、二人きりでのんびり星を見る経験って少ないんだよね」

 

 もくもく山の頂上でビニールシートの上で横になりながら、そう呟くオオガミ。

 隣で同じように横になっていたカーマは、

 

「あら、そうなんです? とはいっても、エウリュアレさんとは見てるんでしょうけど」

「はは、言われると思った。実際のところ、エウリュアレはあんまり乗り気じゃないんだよね。こういう企画」

「意外ですね。マスターさんがいるならついてくると思ってるんですけど」

「内容によるところが多いよ。それでも8割くらいはついてきてくれるけど」

「天体観測はその2割に入ってるってことですか……」

「そういうこと。ちなみに天体観測に誘うと私を見てればいいでしょってドヤ顔される」

「私が星なんだからそれで満足しなさいってことですか? メンタル強すぎるでしょうあの人……」

「まぁ、じゃあそれでいいか~ってなっちゃう俺も俺」

「お似合いのバカップルですよ。挟まる隙間無いですねぇ……」

 

 あ~やだやだ。と言いながら、しかし言葉とは逆にオオガミとの距離を縮めるカーマ。

 

「まぁ、そんなバカップルでも、今はマスターさん一人きり。何もかも忘れるほどに愛してあげますよ」

「それはまた今度ね。珍しくカーマがお願いしてきたんだし、今回は甘える方でもいいでしょ?」

「……なんなんですか、全く……いつもと違うから調子狂いますね……」

「今年は珍しくエウリュアレがいないし。そのせいかもしれないね」

 

 オオガミがそう言うと、カーマは少し不機嫌そうに頬を膨らませ、

 

「……マスターさん。お願い、聞いてくれるんですよね?」

「まぁ、無理の無い範囲で」

「それじゃあ、今日はエウリュアレさんの話しは禁止で」

「……見つかったら八つ裂きにされそうなお願いだね……まぁ、カーマがそうしてほしいならそれで」

「えぇ、それでお願いします。今日くらいは、独占したいですから」

 

 そう言って、オオガミの腕に自分の腕を絡ませ、体を近づけるカーマ。

 その行動にオオガミは若干冷や汗を流しながら、

 

「一応、襲うつもりなら全力で抵抗するからね」

「襲いませんよ。今日は甘える方でいいと行ったのはマスターさんでしょ。まぁ、私は別に襲われたとしても抵抗はしませんが」

「襲わないけどなんだか腹が立つのでバラキーにしているようになで回してやる」

「やめてくださいあれ元通りに戻すの時間かかるんですから!」

「ちなみに今のところ、やる度に腕を噛まれてる」

「なんで懲りないんですか……」

 

 ため息を吐いて呆れた目を向けるカーマ。

 

「……ちなみに、参考程度なんですが、エウリュアレさんにやったときはどうだったんですか?」

「一切抵抗しないよ、お菓子を食べてるときでもね。でも、その後満面の笑みで櫛を渡してくるよ」

「慣れきってますね……完全に生活の一部になってますよ」

「まぁ、整えるのはいつもやってることだからね。たまに遊び心を加えて髪型を変えてるときもある」

「そうですか……いいことを聞きました。明日はマスターさんにやってもらいましょうか」

「……あんまり触れていいものでもないでしょ」

「私が許可してるんだからいいに決まってるじゃないですか。ふふっ、今から明日が楽しみですね」

「今からでもいいけど?」

「イヤです。寝転がってるんですよ? やってもらったのにすぐにぐしゃぐしゃになるのは最悪ですから。明日の朝にやってもらった方が断然いいに決まってるじゃないですか」

「正論だ。じゃ、明日までに何か考えておこうかな」

「えぇ、そうしてください。私のことで頭をいっぱいにしながら、この満点の星空の下で暢気に寝ちゃっていいんですよ」

「じゃ、そうしよう。おやすみカーマ」

「えぇ、おやすみなさい。マスターさん」

 

 そう言って、心地よい夜風に当たりながら、オオガミは目を閉じるのだった。




 夏のデレデレカーマに心を打たれ生まれた最強のカーマ。圧倒的ヒロイン力だった……コルデーとアナスタシアは引けてないよ……?

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