今日のカルデア   作:大神 龍

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※ 本日は向日 葵様とのコラボです!

 マスター同士が出てきたりはしない裏方回みたいなものです!












護衛の一人もいないんですね(たまには一人が良い時もあるので)

「あらあら、こちらのマスターさんは、護衛の一人も着けずにずいぶんと無警戒なんですね?」

「……お客様かな。どちらさま?」

 

 人通りが少ない区画の廊下のすみに座ってのんびりしていたオオガミ。

 そんな彼に声をかけた人物は、廊下の奥から営業スマイルを携えてひょっこりと現れる。

 

「コヤンスカヤ?」

「えぇ、みなさまご存知NFFサービス代表のタマモヴィッチ・コヤンスカヤでございます。とはいっても、本日は商談ではありませんが」

「そう? 売りたいものじゃなくて買いたいものがあるんじゃないの? こちらのって言ってたってことは、アオイのところから来たんでしょ?」

 

 オオガミが言うと、コヤンスカヤは驚いたように一瞬目を見開くが、すぐに営業スマイルに戻ると、

 

「おや、これまたどうしてその名前が?」

「そりゃ、うちにはいないし、うちとパスが繋がっててやってきそうなのはアオイの所からだけだし。どう? 当たった?」

「まぁ当たってはいますが……なんと言いますか、想像よりも暗くないですか?」

「あぁ、うん。周りに誰もいなかったから気を抜いてただけ。でも不思議な組み合わせだね。君一人で来るのはちょっと考えてたけど、ナーサリーと一緒なんだ」

「あら、もしかしてなにもかもお見通しと言うやつでしょうか」

「まさか。だって言い出したのはエウリュアレだし。それで、何をしに来たの?」

 

 右手を腰にあて、少し気だるげに聞くオオガミ。

 事前情報と違う様子に少し違和感を覚えるも、

 

「そうですね。どうやら急かしているようですので、手短に。こちらのマスターがそろそろ誕生日のようでして、メッセージ的なものをいただけないかなと思い参上した次第で。いかがです?」

「……それだけ?」

「……こちらに気軽に来れるようにしたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

 コヤンスカヤの提案に、オオガミは考え込むと、

 

「あんまり気軽に来られても困るけど、いいよ。気軽に来れるようにってのは具体的にどうしたら良いかってのはわからないけど、誕生日メッセージならいくらでも。お菓子もつけちゃうよ」

「お菓子ですか。それはそれで興味ありますね……ですが、それはまた今度と言うことで。こちらのマスターに内緒で来ていますのでバレないうちに帰りたいですし」

「わかった。じゃあサクッと収録しちゃおうか」

「えぇ、お願いします」

 

 そう言って、コヤンスカヤが取り出したボイスレコーダーにオオガミは話し始めるのだった。

 

 

 * * *

 

 

「ふぅ、こんなものでいい?」

「えぇ、十分です。内容はともかく、取ってきたことが重要ですからね」

「毎度誕生日プレゼントをプレゼントのインパクトだけで乗り越えてるからメッセージが下手で悪かったね」

「いえいえ。案外質素で普通の方が受けが良いので、逆に嬉しいかぎりです」

 

 そう言って満足そうに頷くコヤンスカヤに、そう? と返すオオガミ。

 

「で、アンカーはどうするの?」

「あぁ、それは、こちらを持っていていただければ」

 

 そう言って、コヤンスカヤはオオガミにピンク色のクレヨンを渡してくる。

 受け取ったオオガミは首をかしげつつ、

 

「持ってるだけで良いの?」

「えぇ、どこかにおいておいても構いません。ただ、捨てられると少し困りますので、そこだけ気にしておいていただければ」

「うん、わかった。というか、ナーサリーは全然喋らないね」

「一応監視役らしいので、静かに見守っていようとか、そのような感じではないかと。まぁ、本人しかわからないのですが」

 

 未だ沈黙を貫くナーサリーに、不思議そうに首をかしげるコヤンスカヤとオオガミ。

 とはいえ、あまり深く突っ込むべきではないかなと思ったオオガミは、

 

「これでそっちの用事は済んだかな?」

「えぇ、コンプリートです。このまま帰ろうかと思っていますが、まだ何かありますか?」

「あぁ、いや、前に夏祭りをしようって話を持ちかけたんだけど、準備は進んでるかなって思って。話とか出てた?」

「はぁ、夏祭りですか? ……いえ、少なくとも私がここに来るまでの間には聞いていませんね」

「そっか……まぁ、余裕があったら来てみてってだけだから。伝わってるかだけ確認が取れればよかったんだけど、分からないか……うん。とりあえず可能性だけは考えておくかな。ありがとう」

「いえ、なにも情報が渡せず申し訳ないかぎりです。次がいつになるかは分かりませんが、その時は別の有益な情報を持って来るようにいたします」

「気にしなくて良いよ。まぁ、くれるならもらっておくけど」

 

 そう言って笑うオオガミは、コヤンスカヤの事前に聞いていた情報と一致した。

 先程のはなんだったのだろうかと考えるも、彼女はすぐに笑顔を取り繕うと、

 

「それではこれで。いずれ縁があれば、NFFサービスをどうかご贔屓に」

 

 そう言って、帰っていくコヤンスカヤをオオガミは見送るのだった。




 前半のオオガミくんはコヤンスカヤを死ぬほど警戒してるだけの一般オオガミくんなので。何かに乗っ取られているわけではないので……!

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