「おい、どうして私の部屋にいるんだよ」
「自室がまた吹き飛んでしまったので」
「理由になってねぇっての」
部屋のすみに隠れるように潜んでいたオオガミを引きずり出すバーヴァン・シー。
「んで? 今日は誰に追われてるのバゲ子? ランスロット? まさかお母様とは言わないわよね?」
「その三人とエウリュアレとメルトとBB」
「6人に追われてるとか何したらそうなるの……?」
「わからない……でも、目を覚ましたら部屋が燃えてた……」
「それ巻き込まれたらアタシの部屋も燃えるんじゃ……?」
「コレクションごと大炎上だと思うよ」
「最悪じゃねぇか!」
勝ったとでも言いたげなオオガミの表情に、バーヴァン・シーは怒った顔で叫ぶ。
だが、すぐに何かに気付いたような顔をすると、
「これ部屋の外に投げ出したら良いだけじゃん! あっ、こら! おい! ベッドを掴むな! 抵抗するなって!」
「い、いやだ! もうここくらいしか隠れる場所無いから!! 後はもうだいたいエウリュアレが探しに来るから!!」
「おとなしく見つかって捕まってれば良いだけでしょうが! 誰も危害は加えないっての!」
「モルガンたちとエウリュアレが死ぬほど仲悪いから! というか、部屋燃えてたから被害甚大だよ!」
「いいじゃんか部屋が燃えるくらい……いや、部屋が燃えるのは問題だわ……部屋が直るまでの間、どこで寝泊まりするわけ?」
手を止め、聞いてくるバーヴァン・シーに、オオガミは少し考え、
「……かわいいかわいいバーヴァン・シーさん。どうか一晩泊めていただけませんか?」
「まぁ、冗談がお上手なのね。ダメに決まってんだろ」
「ダメかー」
そう残念そうに言うオオガミ。
バーヴァン・シーは、それを見てオオガミを引っ張っていた手を離すと、
「まぁいいや。匿うつもりはないけど、見つかるまではいれば? ただし、見つかったらすぐに投げ出すから」
「ありがとう。十分すぎるくらいだよ」
「えぇ、存分に感謝しなさい」
そう言って、ベッドに腰を掛けるバーヴァン・シー。
オオガミは地面に座りながら、
「そう言えば、君に聞きたいことがあったんだけど」
「あん? なんだよ」
「モルガンが俺を夫って呼んできてるの、君としてはどう思ってるの?」
「……絶対にお父様なんて呼ばないから」
「別に呼ばれたいわけではないからそれで良いんだけど……」
「まぁ、好きか嫌いかで言えば嫌いだけど、お母様が決めたことだもの。反対する理由もないわ。もっとも、害があるなら排除しなきゃだけど」
「危害を加えるつもりはないけど……まぁ、気にしてないならそれで良いや」
「そ。じゃあおとなしくしてて」
バーヴァン・シーはそう言うと、ベッドで横になるのだった。
バーヴァン・シーはかわいいんだよ……