今日のカルデア   作:大神 龍

1233 / 1263
頼みごとがあるんだけど(お断りします)

「やぁカーマ」

「うげっ、マスターさん……なに企んでるんですか……」

「信頼してくれてるみたいで何よりだよ?」

 

 露骨に嫌そうな顔をするカーマに、苦笑いで返すオオガミ。

 だが、カーマはため息を吐くと、

 

「まぁなんとなくわかりますよ。夏祭りの話でしょう? 私にも出店をしろって言うんでしょう?」

「いや、カーマはなにも言わなくても参加してくれると思ってるけど」

「どういう意味ですかそれ!」

 

 頬を膨らませ、抗議するカーマ。

 オオガミは不思議そうに首をかしげつつ、

 

「だって、バラキーが祭りに来るのに、カーマが出店を出さないなんて事無いでしょ?」

「……まぁ、否定はしませんが」

「うん。だから最初から申請してる」

「本人に何の連絡も来てないんですが? まったく……私がやらないって言ったらどうするつもりだったんですか」

 

 そう言って、心底呆れた顔で問うカーマに、オオガミは、

 

「そりゃもちろん、バラキーを盾にしてでもやらせるつもりだったけど」

「人の心を妖精国に置いてきたんですか……?」

 

 予想よりも遥かに凶悪な案が出てきて、困惑するカーマ。

 だが、オオガミはにっこりと笑みを浮かべると、

 

「冗談だよ。だってほら、する前にこっちがやられるし」

「……そういうことにしておきましょうか。それで? 夏祭りに参加するように説得に来たんじゃないのなら、何か用事があったんじゃないんですか。名前を呼びながら挨拶をするときは基本そうですし」

「え、そんな癖あったんだ……自覚全然無いんだけど」

「いいですよ知らなくて。そもそも、エウリュアレさんに言われただけですし。あの方、本当にマスターさんの事に関して以上に詳しいですね」

「それだけ長い付き合いだってことだけど、それは喜んで良いのか……?」

「これは別に弱点ってわけじゃないですし問題ないと思うんですが」

 

 カーマに言われ、それもそうか。と納得するオオガミ。

 そして、彼は綺麗な包装紙に包まれた菓子折りを取り出すと、

 

「これを届けてほしいんだけど」

「……自分で行けば良いんじゃないですか?」

「気軽に行ける場所でもないからね……でもまぁ、カーマなら単独顕現でどうにかなるんじゃないかなって」

「あ~……そういうことですか。まぁ、縁はありますし、行けなくはないですけど……それを持っていけば良いんですか?」

「うん。本当はアビーに頼もうかと思ったんだけど、エウリュアレが離さないから。代わりに行って貰えないかな?」

「……お祭りで出す料理の試作を手伝ってくださいね」

「その程度ならいくらでも。こっちにとっても得しかないからね」

 

 オオガミが言うと、カーマはため息を吐き、

 

「じゃ、行ってきますね」

「行ってらっしゃい」

 

 そう言って、オオガミはカーマが去っていくのを見送るのだった。




 夏イベは9月になってしまったのなんでなの……なんでなの……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。