まず、結論から言おう。アキレウスは当カルデアへの侵入は不可能となった。
ついでに言えば、主戦力の一人であるヘラクレスも、その命を狙われることになったのだった。
「――――ヘラクレスゥゥゥーーーーー!!!」
「■■■■■■■――――!!!!!!」
咆哮と激突。拮抗する力は、しかし、ヘラクレスが競り勝つ。
そも、なぜそうなったのかと。そう思って思い出そうとして、そもそも顔を見合わせた瞬間に始まったと気付く。
「……えっと、誰を連れてくればいいんだろう……」
「バーサーカー相手じゃし、別に誰でもいいじゃろ」
「じゃあ、ノッブ。止めて来て」
「阿呆。廊下の真ん中で戦ってる様な奴らの中に突っ込んだら、儂も騒ぎの中心人物と思われるじゃろ」
「ふむ……でも、ガンドかけると、今度はこっちが狙われるんだよね……」
「なら、エルキドゥでいいじゃろ」
「あ~……なるほど。そういえば、どっちも神性持ってたね……やっぱノッブでいいじゃん」
「だから、儂だと止めたのに犯人にされるって言っとるじゃろ」
「むぅ……仕方なし。じゃあ、呼んでくるかな」
「おぅ。儂はここで待っておるよ」
誰かがうっかり突撃しない様に。という意味だと受け取り、オオガミはとりあえずエルキドゥを探しに行くのだった。
* * *
「まだ出来ないのかしら?」
「待つのも重要だよ。何事もタイミングさ。おいしくなるタイミングを待つというのも重要だからね」
「ふぅん……仕方ないわね」
「正直、なんで私は召喚された瞬間からお菓子を作らされているのか……」
「仕方ないじゃない。今まで料理が出来るのは限られてたり、そもそもいなかったりもしたし」
「……まぁ、特異点での食事は任せたまえ。精いっぱい努力しようじゃないか」
やれやれ、と言いたげな表情で首を振るエミヤに不満そうに頬を膨らませるエウリュアレ。
ようやく料理人枠が召喚され、これから特異点での食事の負担もある程度は軽減されるのだろう。
「エルキドゥは居る!?」
「あら、どうしたの?」
「エルキドゥに用があるのか?」
「えっと、うん。ヘラクレスとペンテシレイアが暴れてて……」
「神性相手なら、頼光や信長でも十分なのではないか? 何より、その二人なら全体宝具だし、両者を同時に止めるなら有利なのでは?」
「えっ? あ……確かに。じゃあ、頼光さんは?」
「知らないわ」
「少なくとも、ここにはいないな。休憩室にでも行ってみたらどうだ?」
「なるほど……じゃあ、行ってくる!!」
オオガミはそれだけ言うと、行ってしまう。
嵐の様に過ぎ去ったマスターを見送り、二人は顔を見合わせ、
「で、何時になったらできるの?」
「もう少しだ」
とりあえず、エウリュアレはお菓子を要求するのだった。
なお、裏ではエルキドゥの宝具レベルが上がっていたりしているという。
メルトリリスはどうして来てくれないんだ――――――――!!!!!!!
くそぅ……くそぅ……爆死でしたよ……!!