「やっぱベオウルフさんのところのドラゴンステーキは一級品だよね」
「シンプルに美味しいもの。素材の味を引き出せてるわ」
そう言って、満足そうに屋台のカットステーキを食べるオオガミとエウリュアレ。
そんな二人に、ベオウルフは、
「戦力じゃなくて料理を褒めるのは何か違うんじゃねぇか……? 仮にもバーサーカーだぞ?」
「いやいや、適材適所。美味しいものを作れる人に美味しいものを作って貰うだけで全体的なやる気アップに繋がるんだよ。ことドラゴンステーキはベオウルフさんの特筆すべき特技の一つだからね」
「どう考えてもドラゴンステーキを焼くのが売りってのは締まらねぇだろ。バーサーカーとしては落第ってもんじゃねぇな」
「彫刻が売りのバーサーカーはいますが」
「あれはまた別だっての。俺は料理に命を捧げた系のバーサーカーじゃねぇからな?」
「確かに。バーサーカーって深いんだね」
「シンプルにあんたの扱い方が間違ってるんじゃねぇかと思ってきたんだが」
それは一理あるね。と頷きながら、最後の一切れをエウリュアレに差し出すオオガミ。
エウリュアレがそれを食べるのを確認してから、
「次は竹串を用意しておくから串焼きとかどう?」
「話聞いてたか?」
次の屋台の話をするな。と言いながら、ベオウルフは水の入った紙コップを差し出しながら、ゴミを寄越せと手を差し出す。
オオガミはそれを受けとり、ゴミを渡しつつ、
「来月末くらいに、お祭りでも開こうかと思っててさ。食べながら歩けるのが良いかなって思ってるんだけど」
「おいおい、始めて聞いたぞそれ。つか、例年通り夏は忙しいんじゃねぇのか?」
「まぁ、イベントが終わったら開くって感じで。花火大会をしたくてさ。だから、屋台とかあると大満足なわけで」
「花火大会ねぇ……ま、協力をしてくれってんなら、断る理由もねぇ。俺の方で声をかけられそうなのにもかけておく」
「うん、よろしく。それじゃ、見回りしてくるね」
「おぅ。気を付けろよ」
そう言って、屋台を立ち去る。
* * *
「やぁジーク。楽しんでる?」
エウリュアレを屋台に並ばせ、一人でゴミを捨てに行く途中で、偶然見かけたジークに声をかけると、彼は振り返りつつ、
「ん、マスターか。もちろん楽しんでる。カルデアに来てしばらくだが、今でも新鮮な驚きがあるよ」
そう言って微笑むジーク。
だが、その手にあったのは、禍々しいたこせんサンドだった。
「……ジーク? それ、大丈夫なの?」
「ん? 別に、問題はない。少し不思議な味だが、食えないものではないからな。マスターは苦手か?」
「いや、苦手とかそういう問題じゃないけど……思わぬ収穫があったね」
「? いまいち状況が飲み込めていないのだが……」
「あぁうん、こっちの話。でもジークにはそのうち色々手伝って貰おうかな……」
「あぁ、任せてくれ。最近は倉庫整理もなかったからな。今回の周回も息抜きになった。ただ、俺を支えてくれていた彼女は、ぐったりしていたようだが……」
「それはまぁ、しょうがないとしか言いようがないけど。とにかく、ジークの新しい仕事は、お祭りが終わって、妖精郷から帰ったら説明するね!」
「わかった。マスターも頑張ってくれ。俺はもう少し屋台を巡っていく」
「うん。じゃあねジーク」
そう言って、ジークと別れるオオガミ。
そして、ゴミを捨ててから急いでエウリュアレの元へと戻るのだった。
ベオウルフのドラゴンステーキは極上なので。やはりワイルド界最強なので……!
とりあえず100箱終わったので高難易度挑んでいるけど果たして倒しきれるのか……