「戦い方を変えます。どうすれば認めますか」
「あなたが何をしようと認めないから部屋に帰っていて欲しいわ」
無惨に破壊された拘束具を握り締めながらオオガミの部屋に来たモルガンに、帰れと言うエウリュアレ。
しかし彼女はまともに会話が出来ているようで出来ていない事で有名なバーサーカー。
当然の権利とでも言いたげに部屋に入り玉座を展開したモルガン。
エウリュアレはそれを嫌そうな顔で見た後、仕方なさそうに起き上がり、
「ここ、半分は私の部屋なのだけど」
「わかりました。ではこの部屋は渡しますので夫は貰っていきます」
「残念だけどそれは出来ない相談ね。オオガミも私のモノだもの」
「マスター、という意味であるのならば共有のものですが、私は個人としての彼を望んでいるのです」
「残念。あなたの言っている、個人の意味で、私のモノなの。譲らないし譲れるものではないわ。お気に入りは手離せないもの」
「そうですか……会話の余地はないようですね」
そう言って立ち上がるモルガン。
エウリュアレは残念そうに肩を竦めながら、
「会話が成り立つとは思っていなかったもの。いい加減その思い込み一直線の考えは改めた方がいいと思うわ」
「我が夫はそれでもいいと言っていましたので」
「それは……確かに、言いそうね。やっぱり帰ってきたら一度締め上げるべきかしら」
「その役目も私が担いましょう。ですので安心して退いてください」
「……やっぱり不快だわ。駄妹のように優しくなんてしてあげない。ペガサスに繋いで引きずってあげる」
「今日は負ける気がしませんね。穴の底に落としてあげます」
そう言って、もはや何度目かわからない激突をするのだった。
* * *
「あの二人、死ぬほど仲が悪いわよね」
「アビゲイルも、呼ばれていってしまったからな……」
さくらんぼタルトを食べながら言うバラキー。
同じようにアビゲイルにさくらんぼタルトを食べさせてもらっていたラムダは、彼女がいなくなる数秒前に空になった自分の皿を、恐る恐る持ち上げたり下ろしたりしていた。
そんな二人を他所に、カーマはアビゲイルのいたところを見つつ、
「彼女の胃袋はまだ掴めそうにないですね……こちら側に引き込めば悪事を働くとき楽になると思うんですが」
「ちゃっかり引き入れようとしてるわね……」
「アビゲイルは言えば付き合いそうではあるがな」
「まぁ、タルトは完食していますし、不満はないんですけど……エウリュアレさんの一言に負けるのは釈然としませんね……」
そう言って少し悔しそうなカーマに、ラムダとバラキーは顔を見合わせ、苦笑いをするのだった。
一周回って仲が良いのではないかと思ってきた。でもそろそろ苦しいのでオオガミくんはよ帰ってきて……