「オオガミはまだ妖精郷なのかしら?」
「向こうとこちらの時間は違うもの。しょうがないわ」
「だからと言ってやたら危険なサーヴァントを召喚するのはやめて欲しいんですけど……」
ため息を吐きながら、カーマお手製の水ようかんを食べるエウリュアレ。
その隣で、スプーンに悪戦苦闘していたラムダは、今はアビゲイルに食べさせてもらっていた。
カーマは自分の分の水ようかんをさりげなくバラキーに一つ渡しつつ、
「偽ガウェインさんはともかく、偽トリスタンさんは危険だと思うんですよ。噛み付いてきますよ。物理的に」
「吸血してくるってことかしら?」
「ここにも噛み付くのがいるんだし問題ないと思うのだけど」
「ちょっと、こっちを見ながら言わないで」
「客観的な事実だもの。オオガミのベッドのシーツに不自然な赤い点があるのは今に始まったことじゃないもの」
「マスターの左腕、歯形ばかりだものね」
「うわっ、やることがえげつないですねエウリュアレさん」
「誰一人として私の名前を言っていないのに私だと決めつけるのはなんでかしらね、カーマ?」
エウリュアレはそう言うと、湯呑みを持って緑茶を一口飲み、にっこりと笑う。
対するカーマは助けを求めるように必死で左右を見渡すが、誰も彼もが視線を合わせようとしない。
「あ、あ~……まぁ、スキル的にやれそうなのはエウリュアレさんしかいないかな~、と思いまして」
「そうね。状況的にもスキル的にも私しかいないわね」
「えぇ、そうです。なので思わずそう言ってしまったのもしょうがないと思うんですよ」
「まぁ、それもそうね」
エウリュアレはそう言うと、少し遠い目をしつつ、
「でもあの傷、9割はアビーなのよ」
「何してるんですかこの問題児」
全員の視線が向けられると同時に顔を背けるアビゲイル。
その態度が何よりも雄弁に事実だと語っているので、カーマは呆れた顔で、
「あれ、あのままエウリュアレさん想定で話してたら殺されてたんじゃ……」
「殺しはしないわ。あの厄介なバーサーカーと一緒に閉じ込めるだけだもの」
「嫌ですよ……似てるんですもん、私と彼女。こう、支配しようとする感じとか、本当に最悪です」
「独占欲の塊と独占欲の塊を合わせたら当然喧嘩するものね。大変ね」
「……マスターさんの周りは独占欲の塊しかいませんけどね。
お茶菓子の追加持ってきますね。と言って、カーマは席を立つのだった。
後半始まるまで放置ですか。イベントは無い感じですか、そうですか……このままだとオオガミくん帰ってこないしイベントもないからわりと地獄なんですが。
オオガミくん周り、独占欲の塊しかいない説。はて、考えてみれば独占欲の塊しかいないな……? 統一感無いと思ってたけどあったね……?