「はぁ……羊のお兄さんを意気揚々と蹴散らして、いざキャンプだと張り切ってレイシフトしたら、これだもんなぁ……」
「湖が冷たくて気持ちいいんですよお兄さん」
「入水自殺をご所望ですかイリヤさん」
「そんな事微塵も言ってないですよお兄さん」
やさぐれるオオガミと並んで遠い目をするイリヤ。
キャメロットでの激戦を終え、意気揚々とサマーキャンプに乗り込み、早々にエウリュアレとメルトの二人とはぐれたオオガミは、去年の戦いを思い出して特異点解決直前まで合流できないということに気づいたのだった。
イリヤは単純に、コテージを散策した疲れでそうなっているだけだった。
「はぁ……みんな一緒にキャッキャウフフなキャンプライフを送るつもりだったのになぁ……」
「実はお兄さん、一番楽しみにしてたんじゃ……」
「ふふ……去年もそんな感じだったし、今さらな感じがあるよね……」
「なんだか深い闇が見えるよぉ……」
『なんだかんだ言っても、マスターもお年頃ですしね~。そうなっても仕方ないんじゃないですか?』
「魔法少女ステッキとしての役目を放棄したホースに言われるなんて……」
『場の空気に合わせてトランスフォーム出来るステッキですよ! この貴重さがわかりませんかね!』
「確かに最近の魔法少女は千差万別の変身アイテム……むしろ普段の持ち歩きに適していない変身アイテムを考えるとルビーは優秀な部類か……?」
『そうでしょうそうでしょう。もっと褒めて良いんですよ!』
「あまり調子に乗らない!」
『あばばば! やめてくださいイリヤさん! め、目が回るぅぅ~!!』
ホースになっているルビーをブンブンと振り回し、暴走を止めようとするイリヤ。
オオガミはそれを見て、
「あ、そうだ。水切りで遊ぼうか」
「水切りって、水の上を石が跳ねて飛んでいく……?」
「そう、その水切り。ただ、ここら辺に飛ぶ石があるかはわからないから、見つからなかったら最悪エミヤさんに頼もうか」
「は~い! 頑張って探すぞ~!」
『どういうのが良いかイリヤさん知ってます?』
「で、出来るだけ平たいやつでしょ。知ってるもん!」
そんなことを言いながら、イリヤは歩いていってしまう。
それと入れ替わるようにやって来たエミヤが、
「水切りとは、また妙なチョイスだな」
「いや、水切り楽しいでしょ。ただの石がただ横回転させて投げるだけで水の上を跳ねるんだよ? 科学的に考えたら普通かもしれないけど、身近な魔法でしょ」
「ずいぶんと筋肉寄りの魔法だがな。私も時間があったら見に行くとしよう」
「参加するなら石を持参してくださいよ」
「もちろんだとも。私の水切りテクを見せようじゃないか」
そう言って去っていくエミヤを見て、思わずオオガミは、
「お、大人げない戦いをするつもりだ……」
と呟くのだった。
去年も同じ分断をしている気がするけど、復刻だし状況も再現ってことで。
ちなみに聖杯戦線はカーマとメルトとラムダでゴリ押しました。やっぱ聖杯戦線性能はカーマが光ってるなぁって思いながら殲滅しましたね。
ラムダを使ってたの許さないからなマーリン……!