「よし、そろそろキャメロットに進軍しようか」
「ようやく?」
「今回もずいぶん遅いようだけど、大丈夫なの?」
「余裕余裕。今回はメルト単騎じゃないからね」
「そう……まぁ、いくら私が強くても何度も戦わされたら疲れるもの」
そう言って、ほっとしたように息を吐くラムダ。
そんなラムダにオオガミは、
「まぁ基本は一掃して貰うけどね!」
「援軍ってなんなのかしらね!」
ラムダの叫びに呼応するように、どこからともなく現れた子どもペンギンがオオガミの腹部に勢いよく頭突きする。
* * *
「というわけで、あそこのグランドクソ野郎の首を取れば勝利です」
「既に二回殴られた後みたいな顔色なんですけど」
「これがパワハラの末路なのね」
「エウリュアレがそれを言うのか」
エウリュアレとカーマが言うように、ラムダに余計なことを言って青い顔をしているオオガミ。
もはや倒れそうな雰囲気だが、それを許さないのは原因の一端でもある小さなペンギン達だった。
エウリュアレはオオガミから距離を取りつつ、
「ふふ。遠目から見る分には可愛いわね」
「はぁ。別に触っても怒られないんじゃないですか?」
「まぁ、怒らないと思うわ」
「じゃあ普通に触らせて貰えばぁっ!?」
ペンギンに不用意に近付いて撫でようとしたカーマは、直後強烈な頭突きを顔面にお見舞いされ後ろに倒れ込む。
そして、何が起こったか分からないような顔で放心していたカーマは、ハッと我に返ると、
「なんですか今の! 結構痛いんですけど! ってか殴ってくるんですか!?」
「それは当然でしょ。そもそもそれはメルトのペンギン……いえ、リヴァイアサンよ。触らせてくれるわけ無いじゃない」
「くっ、嫉妬の象徴ってことですか……え、いや、それなら触らせてくれてもいいのでは」
「気を許してない相手に野生動物が触らせてくれると思う?」
「……飼い主と同じくらい人に慣れてませんね」
「背中に膝!」
「いたっ、いたい!」
背後から蹴られ、飛ばされた先で更にペンギンの追撃を受けるカーマ。
もはやオオガミと同じくらい瀕死になったカーマはゴロゴロと転がりながら、
「ぺ、ペンギンの攻撃力を舐めてました……」
「私もさっきつつかれそうになったもの。意外と攻撃的よ」
「エウリュアレさんまで攻撃するんですか……命知らずですね……」
「全員返り討ちで転がされていたわよ」
「……やっぱり強くないですか」
「心外よ。私はただ優しく撫でただけだわ」
「……本当ですか?」
「……3羽ほど持っていかれたわ」
心底悔しそうに言うラムダに、カーマは何も言えず、ただ呆れたような視線をエウリュアレに向ける。
そんな視線を受けたエウリュアレは黙って微笑み、オオガミの方を見ると、
「さっさとマーリンを倒してバカンス行きましょ」
「湖よ湖。当然スワンボートはあるのよね」
「レジャー施設じゃないよあそこ……普通にコテージがあるだけの場所だからね」
「……なんだか気の抜けた戦いですねぇ」
そんなことを言いながら、4人は出陣するのだった。
キャメロットにはまだ二回しか行ってないしなんなら復刻イベントを開いてすらいない私です。急がなきゃ……!