今日のカルデア   作:大神 龍

1209 / 1263
本拠地の移転。大いにアリだ(広い方がいいものね)

「うん。本拠地の移転。大いにアリだ」

「もとから、あの部屋に入れる人数ギリギリだったもの。当然よね」

 

 オオガミとエウリュアレのやり取りに、キッチンから戻ってきたキャットが、

 

「キャットはどちらでも構わぬがな。狭い方が心理的距離も物理的距離によってぎゅぎゅっと縮まろう」

「いやそれが原因で消えかけてたのが一人いたから」

 

 そういうオオガミの視線の先には、もはや形容できない顔で倒れているクレーンがいた。

 キャットはそれを見て呆れたような顔で、

 

「流石のキャットも、あの鶴には狩猟本能が疼かぬ。むしろ自分から狩られに来そうな勢いなのだな。そういう手合いはオリジナルに任せよう」

「玉藻もこれは受け取り拒否でしょ……あぁいや、でも、一応紅先生の関係者か……」

「ふむ。ならば帰ってからの処遇は終わった後だな。キャットは次のトレーニングがある故行かせてもらうぞご主人」

「一緒に行くけどね?」

「良いのか? ご主人は忙しそうに見えたが」

「特に何かしてた訳じゃないし、今の最優先はAxXxSだから」

「ふむ……あいわかった。では一緒に行くとしよう」

 

 キャットはそういうと、軽く身だしなみを整え、

 

「ところでエウリュアレはどうする? キャットは一緒でも構わぬが」

「そうね……今日はやめておくわ。ちょっとやりたいこともあるし」

「何かあった?」

「一緒に行けるところとそうじゃないところがあるの。やられたりはしないだろうから安心しなさいな」

「まぁエウリュアレがやられるとか微塵も思ってないけどさ……うん。いってらっしゃい」

「えぇ、いってきます」

 

 そう言って、オオガミはキャットと一緒にトレーニング場へ。エウリュアレは一人でどこかへ向かうのだった。

 

 

 * * *

 

 

「で、レッスンを見た感想は?」

「前回よりも動きのキレが良くなってるね」

「歌はどうかしら」

「完璧としか言えないでしょ」

「ならよし」

 

 上機嫌でそういうメイヴ。

 オオガミは釣られて笑みを浮かべながら、

 

「メイヴから見て、えっちゃんは?」

「いいわ。とてもいい。私たちを打ち負かしたのはまぐれなんかじゃないもの」

「……素直に認められるのがメイヴのいいところだよね」

「あら、いいものを認めないほど盲目じゃないわ。いいものはいいと言った上で、その更に先を目指す。その方がいいに決まってるでしょ?」

「確かに。比べるものがないならそこに価値があるのか怪しいものだしね」

「えぇ。私はただ勝者になりたい訳じゃないもの」

 

 そう言って不敵に笑うメイヴ。

 そんな顔を見て、オオガミは何かに納得したように頷き、

 

「これは確かに、狂気の軍隊が生まれるわけだ」

「なぁに? もしかして見惚れちゃった?」

「ちょっとだけいいかなって思った」

「ふぅん……? まぁ今日はそれくらいで勘弁してあげましょう。じゃ、私は戻るわね」

 

 メイヴはそういうと、レッスンに戻っていくのだった。




 ふふ……エウリュアレの霊衣はまだか……?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。