「空中都市ってスゴいなぁって一瞬思ったけど、わりと遭遇してるよねって気付いた」
「そうね。でもここまでの規模じゃないし、そもそもそれはアガルタとバレンタインの空中庭園の話じゃない。今回のとは全くの別でしょ」
確かに。と答え、イスに座ってぼんやりと虚空を眺めるオオガミ。
そんなオオガミの膝の上に座ったエウリュアレは、
「それよりも、早くポイントを集めないとじゃないの? 私の衣装、届いてないのだけど」
「……よし、散歩するか」
「話を聞いていたのかわからないわね……ダメよ。座ったばかりだもの」
「……それならしょうがないか」
オオガミはそういうとエウリュアレを抱き寄せ、髪の毛に顔を埋める。
「それ、たまにするけど、楽しい?」
「……楽しいというより安心するというかなんというか」
「そう……なんだかマーキングされてるみたいね」
「実は酷い絵面なのでは」
「完全に変態よ変態。私以外にやったらダメよ」
「いや~……それはちょっと保証できないかもしれない。メルトに誘惑されたら負けるかも……」
「……まぁ、メルトなら許すわ。でもそれ以外はダメ。絶対よ」
「もちろん」
そう言って、また強く抱き締めるオオガミ。
エウリュアレは嬉しいような怒っているような複雑な顔でおとなしく抱き締められていた。
「……なんだか、暑くなってきちゃった」
「そう? 肌寒いくらいだと思うけど」
「誰のせいだと思ってるのよ! ほら、散歩に行くんでしょう? さっさと立ちなさい!」
「さっきまで妨害してたのに……」
「気分が変わったの。わかるでしょ、そういうの」
「まぁね。エウリュアレの事だし、わからないわけはないよ」
「っ、これだけ怒らせておいてそんな言葉よく出てくるわね……!」
「だってエウリュアレのは照れ隠しだし」
「~~~っ! あーもー、それ以上は本当に怒るんだから!」
「オーケーわかった。これ以上はないです。行きましょう散歩。たまには外をのんびり歩きたいからね」
そう言って両手を上げエウリュアレを解放するオオガミ。
エウリュアレはすぐに立ち上がると、
「全く、たまにそうなるんだから……」
「あはは。まぁ否定できないけども」
「はぁ……ほら、行きましょ」
そう言って手を差し出してくるエウリュアレ。
オオガミはその手を取り、離さないように握り直しながら、
「それじゃ、のんびり行く感じで」
「野良アイドルに襲われないようにしなきゃね」
「こっちには宇宙規模のアイドルがいるから余裕でしょ」
そんなことを言いながら、二人は家を出るのだった。
なんか、うん。いつも通りですね。この夫婦感。
エウリュアレの霊衣まだかぁ……?