「ねぇオオガミ。それ飲んでみてもいいかしら」
「えっ、やめた方がいいと思うよ……?」
食堂にて、興味津々といった様子のエウリュアレの視線の先には、先ほど巌窟王に淹れてもらったコーヒーがあった。
いつもなら砂糖やミルクを入れてもらっているが、今日に限ってはブラックで飲んでいた。
「いいじゃない別に。毒を飲んでる訳じゃないのだし」
「そうだけど……まぁ、そんなに飲んでみたいならいいか……はい」
諦めたようにコーヒーを差し出すオオガミ。
エウリュアレは目を輝かせながらそれを飲むと、
「っ~~~~!」
「あぁほら、だから言ったのに……」
顔をしかめ、不機嫌そうな顔になるエウリュアレ。
オオガミは苦笑いをしながらエウリュアレからコーヒーを返してもらうと、
「それで、どうだった?」
「……よくこんなのを飲めるわね」
「あはは……まぁ、カルデアに来るまで……というか、巌窟王に淹れてもらうようになるまではそもそも飲まなかったんだけどね。苦いし」
「えぇ全く。私はもう飲まないかも」
「ん~……それは判断が早すぎるというか……よし、ちょっと待ってて」
オオガミはそういうと、厨房に向かい、エミヤからミルクを受けとると、コーヒーに入れてかき混ぜ、
「まぁ、これを入れたのを飲んでからでも遅くはないと思うよ」
「……そこまで言うのなら、飲んであげなくもないわ」
そう言って、渋々といった様子でオオガミからカフェオレを受け取るエウリュアレ。
そして、おそるおそるそれを口に運び、
「……美味しいわね」
「それはよかった」
これで巌窟王の名誉も保たれる。と呟くオオガミに、エウリュアレは、
「ミルクを入れるだけでずいぶん変わるのね」
「うん。と言っても、そこはコーヒーを淹れる側の腕だと思うから。豆の目利きも含めてね」
「ふぅん……意外とやるのね。あのストーカー」
「そこまでストーカーしてないって」
「夢の中に居座ってるとか中々じゃないかしら」
「それに関してはアビーも似たようなものだけど」
「……アビーとあれが同じわけ無いでしょ」
「あ、うん……そうだね……」
今の間はなんだろうか。という突っ込みを入れるには、少し勇気が足りないオオガミ。
突っ込んだ瞬間に矢で針山の如く刺されるような気がしたからというだけだが、エウリュアレの目を見ると、意外とやってきそうだった。
「まぁ、とりあえず、それを飲み終わったら行こうか」
「えぇ、楽しみね。宇宙アイドルは伊達じゃないって見せてあげなきゃ」
「流石ユニバース女神アイドル。でもエウリュアレはそれとは別でしょ」
「私の称号に違いはないわ。さ、行くわよ」
エウリュアレはそう言って、空になったコーヒーカップを押し付け、立ち上がるのだった。
危ない忘れるところだった。
これからは平日更新で行きたいな……と思う所存です。土日祝日は休憩だぁ!