「ねぇカーマ」
「なんです?」
オオガミは、マイルームに珍しく遊びに来て漫画を読んでいるカーマに声をかけると、
「猫になれたりしない?」
「どこに頭を打ち付けたんですか」
バカを悪化させた原因はなんだと言いたげなカーマの表情に、オオガミは至極真面目そうな顔で、
「カルデアは動物が少ないと思うんだよ」
「……猫なら、フォウがいるじゃないですか」
「フォウはまた別だと思うんだよ。正直そんな猫だとは思ってないんだよね」
「そうですか……で、猫にこだわる理由は?」
「気分だから」
「理由が雑!」
呆れたようにため息を吐くカーマ。
「……猫耳持ってエウリュアレさんのところに行った方が賢明じゃないです?」
「何言ってるの。そんなことしたら串刺しで針山だよ」
「どうして一番好感度の高いエウリュアレさんがダメ出しすると思ってるのに私はやってくれると思われてるのか聞いても良いですか?」
「そりゃ、カーマが愛の神様だからね。堕落させるためなら大体やってくれるでしょ」
「……ボイコット宣言してる女神に言う言葉じゃないですね」
「それは正しい愛の神様活動でしょ。それに、ここ最近綱さんにお菓子係取られて寂しそうにしてたし」
「なっ、だっ、だれが寂しそうにしてたんですか! 私はいつも通りですけど!」
「うん。いつもバラキーを取られると遊びに来るもんね?」
「言いたい放題言ってくれるじゃないですか……そういうあなただって、今日はエウリュアレさんもメルトリリスさんもいなくて寂しそうにしてるじゃないですか!」
「そうだけど? だからカーマに声をかけてるわけで」
「あっさりと開き直りますね!? この男、恥とかないんですか!?」
「エウリュアレといると大抵の事は見透かされるから今さら取り繕ったところで意味がないからね」
「最悪なひねくれ方をしましたね」
ある意味無敵の人ですか。と呟き、カーマは少し考えると、
「それで、猫になれるかって質問なんですけど」
「あ、話が戻ったね?」
「えぇ。結論から言いますと、猫にはなれません。今の私の力じゃ骨格レベルでの変化とかは出来ませんし。あくまでも成長段階の変更とか、辛うじて性転換くらいじゃないですか?」
「そっか~……じゃあ諦めるしかないか」
「そうです。諦めて猫耳持ってエウリュアレさんのところに行ってください」
「しょうがないなぁ」
そう言って物置を漁り始めるオオガミを一瞬だけ見たあと、漫画に視線を戻すカーマ。
しばらくすると漁っていた音が止まり、どうしたのかと顔を上げたと同時に頭に何かをつけられる。
「……ニャーマ」
「……それが言いたかっただけとか言いませんよね?」
ひどく満足げに言うオオガミに、カーマは満面の笑みを浮かべて聞くのだった。
猫耳カーマ見たいよね。という欲望だけで3月くらいに書いて、出す機会を失っていたニャーマ。
今日は書けなかったので間に合わせの身代わりなのです。