今日のカルデア   作:大神 龍

1205 / 1263
誰のマカロンなのだ……(少なくとも私じゃないですね)

「うぅむ……」

「……どうしたんですかバラキー。珍しく考え込んで」

 

 食堂の一角で、大量のマカロンを持って考え込んでいるバラキーに、声をかけるカーマ。

 バラキーは顔をあげると、

 

「うむ……このマカロンなのだが、誰が作ったかわからぬのだ」

「はぁ。どうせ赤い弓兵じゃないんですか?」

「本人が違うと言っていたから違うのだろう……その反応からして汝も違うようだし、ともすれば、一体誰がこんなことをする……?」

「それは――――いえ、別に考える必要もないと思いますが。貢ぎ物だと考えればいいんじゃないですか?」

「おぉ、なるほど! ならば吾が食べることに何の問題もないな!」

「私はそれ以上に、あなたが食べていいかをずっと悩んでるのが驚きです。いつもなら何も考えないでパクパク食べてるでしょうに」

「なんというか、なにか不安な予感がしてな……」

 

 そう言いながら、カーマは周囲を見回し、改めてバラキーに向き直ると、

 

「それではこれで。またあとで会いましょう」

「うむ。菓子を楽しみにしてるからな!」

 

 そう言って、カーマはその場を立ち去るのだった。

 

 

 * * *

 

 

「で、なんで私のところに来たのか。聞かせてもらっても良いかな?」

 

 不機嫌そうにエミヤのところへと来たカーマに、エミヤは聞く。

 

「さっきバラキーがマカロンを食べ始めたとき、やけに満足そうでしたので」

「あぁ、そういうことか……いやしかし、よく表情を見ているな」

「人心掌握には必須項目ですから。それで、誰が作ったんですかあれは」

 

 ムッとした表情で詰め寄るカーマに、エミヤは苦笑しつつ、

 

「あれは渡辺綱が作ったものだ。私も多少手は貸したが」

「なるほど……くっ、やはりあそこで始末しておくべきでしたか……」

「ふっ、そんなに敵意をむき出しにする必要も無いだろう。何より、君の方が先に始めている。そのアドバンテージを無駄にさえしなければいいだけさ」

「……なに上から目線で語ってるんですか。刺しますよ?」

「おや、助言のつもりだったが、余計だったかな?」

「えぇ、余計です。そもそも私は別に勝負なんてしてませんし、バラキーも食べられればそれでいいんでしょうし。私は気にしてないので」

「とてもそうには見えないが、そういうことにしておくとしよう。それで、君はどうする?」

 

 エミヤの問いに、カーマは少し考え、

 

「……今日はバタークッキーにします」

「わかった、材料は用意しよう。君は料理の準備をしたまえ」

 

 そう言って厨房の奥へと入っていくエミヤ。

 カーマは少し気合いの入った目で料理の準備を進めるのだった。




 カーマカーマ言ってたらカーマ書きたくなっちゃったのでいつものカーマバラキー。

 この二人はこの二人で書きやすいのでやっぱり好き。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。