「うぅむ……」
「……どうしたんですかバラキー。珍しく考え込んで」
食堂の一角で、大量のマカロンを持って考え込んでいるバラキーに、声をかけるカーマ。
バラキーは顔をあげると、
「うむ……このマカロンなのだが、誰が作ったかわからぬのだ」
「はぁ。どうせ赤い弓兵じゃないんですか?」
「本人が違うと言っていたから違うのだろう……その反応からして汝も違うようだし、ともすれば、一体誰がこんなことをする……?」
「それは――――いえ、別に考える必要もないと思いますが。貢ぎ物だと考えればいいんじゃないですか?」
「おぉ、なるほど! ならば吾が食べることに何の問題もないな!」
「私はそれ以上に、あなたが食べていいかをずっと悩んでるのが驚きです。いつもなら何も考えないでパクパク食べてるでしょうに」
「なんというか、なにか不安な予感がしてな……」
そう言いながら、カーマは周囲を見回し、改めてバラキーに向き直ると、
「それではこれで。またあとで会いましょう」
「うむ。菓子を楽しみにしてるからな!」
そう言って、カーマはその場を立ち去るのだった。
* * *
「で、なんで私のところに来たのか。聞かせてもらっても良いかな?」
不機嫌そうにエミヤのところへと来たカーマに、エミヤは聞く。
「さっきバラキーがマカロンを食べ始めたとき、やけに満足そうでしたので」
「あぁ、そういうことか……いやしかし、よく表情を見ているな」
「人心掌握には必須項目ですから。それで、誰が作ったんですかあれは」
ムッとした表情で詰め寄るカーマに、エミヤは苦笑しつつ、
「あれは渡辺綱が作ったものだ。私も多少手は貸したが」
「なるほど……くっ、やはりあそこで始末しておくべきでしたか……」
「ふっ、そんなに敵意をむき出しにする必要も無いだろう。何より、君の方が先に始めている。そのアドバンテージを無駄にさえしなければいいだけさ」
「……なに上から目線で語ってるんですか。刺しますよ?」
「おや、助言のつもりだったが、余計だったかな?」
「えぇ、余計です。そもそも私は別に勝負なんてしてませんし、バラキーも食べられればそれでいいんでしょうし。私は気にしてないので」
「とてもそうには見えないが、そういうことにしておくとしよう。それで、君はどうする?」
エミヤの問いに、カーマは少し考え、
「……今日はバタークッキーにします」
「わかった、材料は用意しよう。君は料理の準備をしたまえ」
そう言って厨房の奥へと入っていくエミヤ。
カーマは少し気合いの入った目で料理の準備を進めるのだった。
カーマカーマ言ってたらカーマ書きたくなっちゃったのでいつものカーマバラキー。
この二人はこの二人で書きやすいのでやっぱり好き。