「あ~……なんだか嫌な空気だなぁって思ったら、バレンタインが近いんですか……」
「うむ。吾は好きだがな! ちょこがたくさん食べられる故に!」
「バラキーのその素直さ、嫌いじゃないですよ」
そう言って、何も分かっていなさそうなバラキーを見てため息を吐くカーマ。
バラキーは不思議そうに首をかしげ、
「嬉しそうではないな……どうした? もしかしてあれか? ちょこが嫌いなのか?」
「あぁいえ、チョコは別に嫌いじゃないです。ただまぁ、この時期は空気そのものが苦手というか。まぁバラキーには関係の無いことですけど」
「空気……空気かぁ……うむ、吾には分からぬことだな。ただまぁ、この時期はマスターへの贈り物が流行る頃だから、苦手というのは分かる。なんとなく皆目が怖いのだ……」
「……わかってるじゃないですか」
そんなことを言っていると、厨房から何かを持って駆け出していくオオガミ。
それを見たバラキーは、
「今度はなんだ……吾の知らぬことが起こってるのか……?」
「まぁ、普段仲が悪い人が一緒にいますからねぇ……異変と言えばそうなんですけど、駆け出していったのは別の理由だと思うんですよねぇ」
「む。何かあったか?」
「えぇ。今年はスーパーロックオンチョコレートとかいう、危なっかしい名前のチョコレートがあるらしいので。とは言っても、あのマスターなら、もう決まっているようなものですけどね」
「あ~……うむ。わかる、わかるぞ。でも吾はラムダの方だと思うなぁ」
そう言って頷くバラキー。
カーマはため息を吐くと、
「どっちも同じ考えなら賭けになりませんよ……効率面を考えても、普通に行くでしょうね。彼の中で彼女はスタァで偶像ですから。ま、エウリュアレさんも負けず劣らずですが、あっちは逆に自分に渡そうとしたら突っぱねそうですね」
「うむ。大方、戦力的に見てラムダに渡すべきだろうと言いながらな」
「……ビックリするくらい言いそうですし、でも満更でもない顔で受け取りますよね」
「まぁ今回はいつものものだと思うがな」
「それには同意ですけど。ただまぁ、一つだけあるとしたら、男性用のは誰に渡すんですかね」
「……そっちの方が面白いことになりそうだな」
バラキーはそう言うと、楽しそうな笑みを浮かべる。
カーマもちょっとした好奇心に火が点き、目を輝かせると、
「それじゃ、後を追いますか」
「これは大冒険の予感がするな!」
そう言って二人は食堂を飛び出し、オオガミを追いかけるのだった。
カレンさんは来てくれたけどまだ私の中で固まってないので保留。あと鬼一師匠ももう少し保留なのです……
ちなみにスーパーロックオンチョコレートは当然ラムダです。理由は、そう言えば他のチョコはまだ貰ってませんって選択肢があったなって思い出して、見に行くために一番最初に渡しに行く、でした。