今日のカルデア   作:大神 龍

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あけおめキアラさん(お久しぶりですマスター)

「あら、マスター。明けましておめでとうございます。今年もカルデアのサーヴァントの一人としてよろしくお願いいたします」

「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」

 

 いつの間にか畳に変えられ、こたつまで完備されているキアラの部屋にやって来たオオガミ。

 いつもと変わらぬ笑顔にオオガミの気も緩む。

 

「それで、なにかございましたか? 三ヶ日も終わり、そろそろ通常運転に戻る頃合いですが」

「いや、挨拶くらいはしておかないとと思って。BBが目を離した隙に脱走するかなって思ってたんだけどね」

「まさか。私は今の生活がそこまで悪くはないと思っていますので、脱走する理由もそれほどありません」

「そう言って貰えるとありがたいけど。まぁ、水着の時は張り切ってたもんね」

「マスター。それはそれ、これはこれでございます。やはり夏というものはかくも恐ろしいもので、気を付けてはいたのですが……お恥ずかしながらあのようになってしまいました」

「別に気にしてないよ。楽しんでて何よりって気分だったしね。楽しめないよりは全然いいと思うよ?」

「まぁ。やはり懐が大きいですね。私は己の修行不足を恥じるばかりです」

 

 そう言って、目を伏せるキアラ。

 オオガミは苦笑しながら、

 

「正直カーマが普通に出歩いてるんだしキアラさんもいいと思うんだけど、ビースト化してなくてもキアラさんは脅威だからって言って許可されないんだよね」

「その理屈で行くと、彼女は脅威じゃないように聞こえますね」

「まぁ実際子供のいたずら程度の事しかしないしね。そう言うところも含めて、キアラさんとは真逆の存在だよね」

「あなた様が言うのであればそこに間違いはないのでしょうね。悲しいことに私と彼女は相容れぬ身。合えば争いになることは必然。ですので、カルデア内では会わぬように私はここにいるのです」

「本音は?」

「あの子が怯えるようにここに近づかないのが面白くて……時々魔力だけ飛ばして遊んでいるので楽しいです」

「たまに子供みたいなことするよね」

「お嫌いですか?」

「ビックリするほど親近感湧くね」

「それでしたら嬉しいです」

 

 キアラはそう言って微笑み、ふとなにかに気付いたように顔を上げると、

 

「そうです。あなた様が来る少し前に、預かりものをしていたのでした。ここでは感じたことの無い気配でしたが、悪いものではなさそうでしたので、少しお話をしていたのですが、なにやら事情がある様子。わけを話していただくと、マスターへお届け物があるというではないですか。ですので、私が代わりに預かり渡しておくと申し伝えましたところ、こちらに」

「つまり問い質したら荷物を置いて消えたと」

「おや、そのように聞こえてしまいますか。私はただ、危険物だったらと思い預かっただけなのですが」

「結果は?」

「よく分からぬものと手紙ですね。箱を空けたら勝手に動くようなものではないでしょうし、そのままお渡ししても良いだろうと判断しました」

「まぁ即死じゃなきゃ大丈夫か。部屋に帰ってから開けてみるよ」

「えぇ。それではごきげんよう」

「うん。今度はお茶菓子でも持ってくるよ」

 

 そう言って、オオガミは部屋を出ていくのだった。




 キアラさんはね。すごいんだよ。なんかね、すごい書きやすいんだ……でも私が仏教に詳しくないので誓願が全く分からないのが悔しいところ。

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