「「「明けましておめでとう!!」」」
サーヴァント達の大きな声で、年が明けたことを実感する。
食堂は、酒を片手に騒ぐもの。それを静めようとするもの。静かにそばを食べたり他の料理に手を伸ばすなど、三者三様十人十色英霊それぞれのもので、一年経つ毎に様変わりする年越しに、オオガミは笑みを浮かべる。
「満足そうね」
「もちろん。だってこんな大人数だよ? 嬉しくないわけ無いでしょ」
「そうね。私には少し騒がしすぎるかもしれないけど、でも、こういうのも良いわ」
「うん。見てるだけでも楽しいよね」
「えぇ。だからオオガミ。隣で寂しそうにしているリヴァイアサンに構ってあげなさい?」
「余計なお世話。いつまでも頼りきりな私じゃ……くっ、うぅっ……無いわ、よ……ぅ!」
そう言いながら、必死の顔で箸を使いなんとかそばを食べようとするラムダ。
四苦八苦しながらようやく持ち上がったそばに一瞬目を輝かせるも、直後ちゅるんと箸の上を滑りラムダに降りかかる温かい汁。
直撃したラムダは勢いよく上体を反ると、何もなかったかのようにしっかり座って箸を置くと、
「早く私に食べさせなさいな」
「その一瞬で切り替えるのすごいと思うよ。はい、あーん」
「あなたの切り替えの早さも中々のものだと思うのだけど」
流れるようにラムダにそばを食べさせるオオガミに、苦笑いをするエウリュアレ。
彼女からすれば見慣れた光景ではあるし、たまに自分もわがままを言って食べさせてもらっているのであまり強くは言えないのだった。
「エウリュアレは天ぷら食べる?」
「魚が良いわ。サクサクでふわふわな食感が好きなの」
「揚げたては最高だもんね。ふわふわの白身魚はいくらでも食べられそうだしね」
「えぇ。ありがと」
オオガミに取ってもらい、黙々と天ぷらを食べるエウリュアレ。
そんな三人を遠巻きから見ていたカーマは、
「あの三人仲良すぎじゃないですか? どうなってるんですか」
「いつも通りであろう? 吾はもう気にならぬが、汝は愛の神として気になるのか?」
「別に、今はボイコット中ですし? そもそも既に与えられないような相手を相手するような私じゃないですから」
「……愛を妨害するのは愛の神としてのボイコットじゃないのか?」
「……妨害するのも、愛の試練って名前の愛になっちゃうのでボイコットにならないんですよねぇ。仕事しちゃうことになるので。というか、クリスマスのイベントがそのまま答えですよ」
「あぁ、ヴリトラとやらの計画か……あれは確かに試練というものだったが、あれも愛に含まれるのか……難しいな。愛」
「難しいんですよ。愛」
そう言いながら、そばを食べる二人。
すると、カーマが、
「あ、そう言えばバラキー、栗きんとん食べたいんですっけ」
「うむ! あれは甘くて美味しいからな。食えるだけ食いたい。おせちの楽しみよな!」
「そうですか……それじゃあ厨房に行きますか。そこで食べててくださいね」
「戻ってきたばかりでもう行くのか?」
「色々あるんですよ」
「そうか……カーマの栗きんとん楽しみにしているぞ!」
「えぇ。それじゃ、また後で会いましょうね」
そう言って、カーマは厨房に向かうのだった。
明けましておめでとうございます!
ギリギリ書ききったけど書きたいことを全部詰め込めなかった感。悔しい……!