カツカツカツ……と貧乏ゆすりをするカーマ。
その視線の先にいるのは、怯えるバラキーを抱きしめ弄ぶ伊吹童子がいた。
その様子をじっと見ていたカーマだったが、やがて痺れを切らし、
「誰なんですかあなた。無駄に尊大な神気を垂れ流してますけど」
「うん? 余を知らぬのか……まぁよい。今は召喚されたばかりで機嫌も良い。特別に名乗ってやるとしよう」
伊吹はバラキーを手放し、その隣に座ると、
「余は伊吹童子と呼ばれている。存分に敬い、畏れるがいい」
「はぁ。伊吹童子ですか……あぁ、そう言えばマスターからそんな話を聞きましたね……聞いていた容姿とはほとんど合致しませんけど」
「……ふ、ふふ、ふふふ……それはあれか。余が小さいと。そう言っているわけだな?」
「あら、そう聞こえました? まぁ確かに小さいですけど、でも他意はないですよ。どうせまだ再臨してないだけでしょうし」
「むぅ……確かにマスターは、今準備していると言っていたが……準備が必要なものなのか?」
唇を尖らせてそう言う伊吹を見て、一瞬バラキーと同じ気配を感じるカーマ。
だが、カーマはその気配を振り払うと。
「準備と言っても、マスターの場合は倉庫整理ですよ。宝物庫に適当に投げ込んで、いざ必要になったら一番下に埋もれてたとか、そういう類いのものです。どうせすぐ持ってきますよ」
「あ~……確かに倉の整理は面倒だものな……貢ぎ物とか、食料でなければ適当に投げ込んでるし」
「そういうことです。まぁ、今頃あなたを探してさまよっているかもですけど」
「むむ、それは一大事だ。背丈はともかく、あの脆弱な外つ国の神にやられたのには納得がいかぬ。相性などと言われてもそもそもの格が違う。負けるのは不自然すぎないか?」
そう言って愚痴る伊吹。
だが、聞いていたカーマは、この伊吹童子を負かしたであろう女神を思い浮かべ、
「……まぁ、あの
「ぬ……それは受け入れがたい……やはり霊基の強度が足りていないだけなのでは。仕方あるまい。余の方から行って強化して貰うしかないな! 去らばだ!」
そう言って、去っていく伊吹童子。
カーマはそれを見送った後、バラキーに視線を向け、
「ほら、行きましたよ」
「……吾、もう部屋に帰る……」
「あぁもう、好きなお菓子作ってあげますから、そんな情けない顔をしないでください。鬼としての矜持とかが崩れかけてますよ!」
「あれはもう逆らえない……エウリュアレの比ではないのだが……」
「……いえ、まぁ、そのエウリュアレさんはあの人を一度倒してるみたいなんですけどね……?」
「吾もう無理……」
バラキーはそう言って、身の危険を脱した安心感で、机に突っ伏すのだった。
尊大系おこちゃまのように見えて一気に親戚のお姉さんになり、そして最後に神となって来た三段階変化の伊吹童子さん。普段をどれにしようか考え中です。バラキーと絡ませるなら第一再臨かなぁ……