「むぅ……今回の私は悪い子だったわ」
「そうだね」
「そうよ。悪い子だったの。だからこうなってるのはおかしいと思うわ」
「そうかな?」
抗議するアビゲイルを膝の上に乗せて頭を撫でるオオガミ。
抗議しているアビゲイルは不満そうにしつつも頭を撫でられて嬉しそうにしていた。
「でもほら、気にしてないしいいんじゃない? なに、悪い夢のようなものだよ」
「でもでも、置いていかれて寂しいからって、あんな姿になっちゃって……」
「それで言うならお栄さんはもっととんでもないことをしているわけだけど。あっちはあっちで特に罰はないよ? それに、アビーを罰するならそれ以上のことをしている人たちも罰しなきゃ不公平だからお栄さんも罰しなきゃだね」
「そ、それは……」
「まぁ、特に思い付きもしないから何かしろって言われても困るんだけどね。それでもって言われるなら、このままおとなしく撫でられているんだな。ふははは」
「変態みたいなこと言わないでちょうだい」
突然現れた第三者の声と同時に何かがオオガミの顔面に飛び付く。
その勢いを止めることが出来ず倒れたオオガミは、顔に引っ付く何かを引き剥がすと、
「ぺんぎ……リヴァイアサン?」
「全く。少し目を離すとこれよ。エウリュアレの躾はどうなってるのかしら」
「とんでもないことをさらっと言うね。俺の管理はエウリュアレ持ちだったのか」
「あら、今更な話じゃない」
そう言って、きょとんと首をかしげるラムダ。
オオガミは起き上がり、顔面に張り付いていた子リヴァイアサンをアビーに持たせると、
「エウリュアレに管理されてるつもりはなかったんだけど」
「あら、エウリュアレにあなたのことを聞けば大抵答えてくれるから、てっきり管理されてるのかと」
「管理されてないよ。というか、エウリュアレは管理するような性格じゃないでしょ」
「まぁ、気まぐれにペットを飼ったら二、三日遊んで飽きて忘れそうよね」
「そういうこと。それに、今日は昼に食堂で別れてから会ってないしね」
「そうなの? で、どこにいるわけ?」
「アナとメドゥーサとゴルゴーンを捕まえてステンノと一緒に遊びに出掛けたよ」
「あなたも大概よね」
「マスターはエウリュアレさんのことはなんでも知っている気がするわ」
「そこまでじゃないよ」
「……この二人のそこまでじゃないって言葉ほど信用できないことはないわね」
ラムダにバッサリと言われ、しかし否定が出来ないオオガミ。
アビゲイルは嬉しそうに笑うと、
「謙遜する必要はないのよ? だってマスターは私たちのことについていっぱい知ってくれているもの。エウリュアレさんやメルトさんだけでなく、私のこともしっかりと。これってすごいことだと思うわ!」
そういうアビゲイルに、オオガミは苦笑すると、
「よし。三人で食堂に行ってお菓子でも食べようか」
「わぁい!」
「唐突ね。まぁ、時間はあるからいいのだけど」
そう言って、三人は部屋を出るのだった。
のんびりしすぎて高難易度間に合わなそうだなって思いつつそれでものんびり周回している私です。
いい話だったのでゴッホを引きたかったけど私の運命力がそれを許さなかったのでサヨナラだ……