「いい天気だねぇ」
「そうね。眺めもいいもの」
「二人とも、高いところが好きなのかしら」
邪馬台国に生まれてしまった狂気の10階建て高床式倉庫の屋根の上に寝転んでいるオオガミとエウリュアレ。
アビゲイルは少し離れたところに座って二人の様子を見ていた。
「別に好きというわけじゃないんだけど」
「嫌いじゃないし、遠くが見えるっていいじゃない?」
「……なんというか、二人で一人って感じだわ。とっても仲良しで、互いの事を見なくても理解できている感じとか」
「そんなに?」
「今更よ」
アビゲイルの言葉に、不思議そうに聞き返すオオガミと、何度も言われてきたとばかりに切り捨てるエウリュアレ。
「なんだかんだずっといるもの。言わなくてもわかるし、理解してくれる。だからこそ、メドゥーサとはまた別の特別な存在なのよ」
「ふぅん……なんだか羨ましいわ。とっても信頼されているみたいで」
「ふふっ。いいでしょう?」
アビゲイルが頬を膨らまして羨ましそうにする。
それに対して不敵に笑うエウリュアレの後ろで、オオガミは顔を赤くしながら悶えていた。
すると、
「むっ。ここには誰もおらんだろうと思ってきたが……先客がいたか」
「え、あ、ノッブか」
「おぅなんじゃその反応。内容によっては問い詰めるが、今は良い。とりあえずここに身を潜めたいんじゃけど」
「よし。向こう行こう。ここにいたら心が持たない」
「あらオオガミ。逃がすと思って?」
「……はい」
おそらく信勝から逃げてきたのであろうノッブと一緒にこの場を離れようとするが、満面の笑みを浮かべるエウリュアレに気圧され、渋々と持ち上げた腰を下ろす。
ノッブも近くに腰を下ろすと、
「なんじゃ、またいつも通りいちゃついてたんか。二人も侍らせていい身分よな」
「残念だけど、パワーバランス的にエウリュアレがトップだから逆らえないわけです」
「まぁ令呪使わんからな。全く、信頼しているというか、不用心というか。とはいえ、拘束しないからこそ従うものもいるわけだから一概には言えないわけじゃが……」
「エウリュアレへの過度な肩入れはやめろって?」
「……出来るとは思わんしエウリュアレ自身が抑止になっているから問題はないが、暴走したら止めるのはオオガミ。貴様じゃぞ」
「その時はまぁ、令呪でもなんでも使うけど。それに、エウリュアレに限らず、出来る限りみんなの要望には応えてると思うけど」
「うむ。儂と同じになれとは言わぬし言えんからな。だが、無理そうなときはいつでも頼るといい。もちろん、儂も頼るがな」
「……今日は真面目だね」
「ぐだぐだ時空よ。シリアスしないで」
「儂これで怒られるのは理不尽だと思うんじゃが!」
そう言って騒いでいると、屋根の縁からにゅっと手が伸び、
「姉上の声は聞こえた気がするんですが! ってなんだ。お前か……おい、姉上がどこに行ったのか知らないか。今ここにいた気がしたんだが」
「あぁ、闇の新選組の屯所に向かってたよ」
「そうか。入れ違いになったりしたら困るが……姉上に会ったら僕も屯所に向かったと伝えてくれ。それじゃあな」
そう言って去っていく信勝。
とっさにオオガミの後ろに隠れたノッブは、
「いや危なかった。危なかったんだが、お主の後ろに隠れたせいでエウリュアレの視線が痛いんじゃが。なにこれ。儂死ぬ?」
「……強く生きて欲しいな」
「う~んぶん投げおったな!」
そう言って青い顔をするノッブは満面の笑みを浮かべているエウリュアレに肩を捕まれて青を越えて白い顔になっていくのだった。
う~んぐだぐだ。でもぐだぐだしてない方はめっちゃカッコいいシナリオで良かったしそのあとのぐだぐだが一段と輝いたのでヨシ!
カッツも最高だったけど斎藤さんも引けたから出したかった……いや、彼ならまだ出番はあるはず……!