「はぁ……呪いのビデオに夢の中の恐怖のホテルなんて、普通に怖いわね。まぁ、カルデアで見た覚えがあるような内容なのだけど……」
「あら、元があるってこと?」
「ん~……たぶんね。でもまぁ、ホラーという点しか共通点が無いし、問題も、アビーと連絡がつかないから帰れないってことくらいかしら」
「……一番の問題よねそれ」
そんなことを話しながら、エウリュアレとメルトはマンションの屋上を目指して階段をのぼる。
気分転換代わりに歩いているのだが、既にエウリュアレは若干飽きていた。
「それで、帰れないから解決待ちというところかしら」
「えぇ。だからただ待ってるんじゃなくて、考察しながら待っていようかと思って。だって、忙しそうじゃない」
「……そう。まぁ、忙しそうというのは否定しないけど」
「……何か言いたそうね」
「いいえ、別に? 気にしないで考察を続けましょう」
そう言って、話を進めさせるメルト。
エウリュアレはそれを不思議に思いつつも、話を戻す。
「そもそも、この特異点も異質よね。だって、まっとうな違和感なんてホラー現象くらいじゃない。スプラッター、和製ホラー、サイコホラー。原因だって、人間、怨念、人間よ。まぁ、スプラッターは怪物称してもいいのかもしれないけど。突破方法も、シナリオ崩壊、正攻法、正攻法。あぁいえ待って。最後だけは分からないわ。ともかく、純粋に殴り倒したらしいし、問題はないはずね」
「まぁ、そういうことにしておくわ。それで、次はどんなホラーかしら」
「……次はポルターガイストとか?」
「洋物ホラーで見るやつね。でもそれって解決できる?」
「どうだったかしら。そんなに見てないし」
「まぁ普通そうよね。あんまり見ていたいものじゃないし」
「えぇ。一緒に見る相手もいないもの」
「マスターを誘えばいいじゃない」
「彼、ホラー苦手よ?」
「……まぁ、倒せるのと倒せないのは扱いが別よね」
「えぇ。倒せないのは無理――――っと、着いたわ」
そう言って、ようやく屋上にたどり着く二人。
入れないように掛けられていた鍵はメルトが融かして見なかったことにする。
そうして入り込んだマンションは、
「あら、想像以上に良い景色ね」
「そうねぇ……夕方までここにいようかしら」
「それは流石にダメよ。考察をするなら、マスターを見ていなきゃならないもの」
「それもそうね。でも、もう少しいましょう。すぐ降りるのは流石に勿体無いもの」
「えぇ、そうね。それじゃ、休憩しましょう」
そう言って、二人は座り込んでマンションから湖を見るのだった。
普通に怖いのヤバイ。ヤバイけど、それはそれとして水着アビーが門を使いこなしてる! これセイレムの後の経験を積んだアビーでは???