「キャンプと言えばカレー。寸胴鍋のカレーに飯ごうで炊いたご飯は最高だよね。どう思うエミヤ師匠」
そう言って、隣にいるエミヤを見るオオガミ。
エミヤはオオガミをチラリと見ると、
「……料理の弟子を取った覚えはないが、そうだな。私としては得難い経験だと言える。だがもちろん、それはやってもらうのではなく、自らの手でやることによってその良さが増す。つまるところ、自分で料理をすることで思い出を作ることができ、なおかつ料理の苦労を知ることで料理人への感謝も湧く、というのが私の思うところだ。そしてカレー。煮込み料理として最も簡単で、かつ世界各国で親しまれている料理という点もあり、喜ばれる方が多いであろう料理であることから、カレーというものはとても優秀な料理だ。さぁマスター。料理を始めるとしようか」
「怒涛の勢いで自らの手で作ることの良さを語って自分で作るのか……いや、うん、手伝います」
言いながらだんだんと目を輝かせ、最終的に自分で作り出すエミヤに若干呆れながらも、オオガミは手伝うのだった。
* * *
「それにしても、違和感があるのよね……」
「違和感? 何かあったかしら」
オオガミから離れたところで、エウリュアレとメルトは湖を見ながら話していた。
「なんて言えばいいのかしら……オオガミ自身に違和感もあるし、周りもどことなくおかしい雰囲気があるというか……昨日のオオカミ退治の時からあるのだけど、説明が難しいわ」
「そう……まぁ、私も感じているところはあったけど、確信を持てないところがあるのよね」
「えぇ。もう少しで分かりそうなのだけど……でも、そうね。一番の違和感は、マシュがオオガミと行動していないってことね」
「そう? 私はいつもアイツを殴って縛ってるイメージしかないけど」
「まぁ、それはそうなのだけど……でも、本来は絶対に離れないし、不可抗力で離れることはあっても自分からは絶対に離れなかったもの」
「……それを言われると、確かに不自然ね。まるで真逆の行動じゃない」
「そう、反転してるの……あぁ、なるほど。反転してるのね」
「あら、何か気付いたのかしら」
何かに気付いて立ち上がったエウリュアレを見て、メルトは首をかしげる。
「そうね。さっきまでの違和感の正体が分かったわ。えぇ、反転よ反転。オオガミの口調の違和感もそれで説明できるわ」
「……今は正常みたいだけど」
「……条件を探りましょう。別段私が解決するわけじゃないけど、ただ真相を聞くだけというのも面白くないじゃない?」
「それもそうね。じゃあ、行きましょうか。お腹も空いたもの」
そう言って、二人はオオガミ達のもとへ戻るのだった。
わりとホラー強めでビビりつつもそれを上回るアンキア成分とイリヤとエミヤの掛け合いと未だ登場しない一番ヤバイ子に心臓鷲掴みにされてる私です。
石はないので今年の夏はもう終わりだ……