「おいマスター。聞いたか? 最近食堂に恐ろしいメンバーが追加されたってやつ」
「いやまったく。レベルが上がったって話は聞くけどそんなことある?」
何かに怯えている様子のイアソン。
聞いているオオガミは、エウリュアレへの献上品であるクッキーを作っていた。
「昨日以蔵が捕まってな……戻って来はしたんだが、バイブレーションかってくらいの振動で震えてて、ちょっと気になったんだよ」
「ふぅん? あぁ、そう言えば、昨日紅ちゃんから夜中に食堂に侵入した不届きものを捕まえて説教したって話を聞いたね」
「……誰だ紅ちゃんって」
「三日前に来てくれたじゃん……」
「……あぁ、そういやなんかいたな。ちっこいやつが」
「うん。その小さくてかわいいのは紅ちゃん。イアソンも斬られる覚悟をしておいてね」
「イヤだよなんで斬られなきゃなんだよ?」
「日頃の行いかなぁ」
そう言うオオガミに、言い返せずに黙るイアソン。
すると、食堂の奥から紅閻魔が出てきて、
「ここではマスターも料理をするのでちか?」
「あ、紅ちゃん。別に料理ってほどじゃないけど、趣味のお菓子作りだよ食べていく?」
「いいのでちか? それは、誰かに作ったものだと思ったのでちが」
「まぁ、大量に作るし、一、二枚無くなったところで問題ないよ。それに、いつもはバラキーやカーマにもあげてるし」
「ちゅちゅん。では、遠慮なくいただくでち」
「どうぞ。イアソンもね」
「……毒とか入ってないよな」
「エウリュアレに渡すやつに毒入れたら殺されるどころの騒ぎじゃないよ」
「……そりゃそうか。んじゃ遠慮なく」
そう言って、クッキーを取って食べる二人。
その間にオオガミは二つ目のクッキー達をオーブンに入れ、焼き始める。
「うん。いつも通りうまいな」
「本当でち……予想以上なのでちが、普段からやっているのなら納得でちね。でも焼く時間はもうちょっと短めにすると、いい口当たりになると思うのでち」
「ん。じゃあそれも作るかな……紅ちゃんも食べ――――あぁ、ごめん。そもそも味が分からないから食べても食感だけか……」
「ちゅちゅん。そこは考えなくてもいいのでち。食べずとも楽しみはあるのでち」
「それならいいんだけど……」
「そうだぞマスター。余計なことを考える暇があるんならオーブンの中でも覗いておけ」
「あ、そっか。紅ちゃん直伝の時間で焼かなきゃだ」
そう言って、オーブンに向かうオオガミ。
紅閻魔はイアソン近づくと、
「おまえ様は細かいところまで見えているのでちね」
「ま、いいことはねぇがな。ちなみにアイツは見えていてもフォローが分からないとか、そういうパターン」
「そ、そうなのでちね……」
そう言って、二人はオオガミの様子を見守るのだった。
ついに念願の紅ちゃん先生。実装したときからでちでち言わせたかったけどいざ言わせてみると扱いづらくてビックリ。さ行が全部変換されるから出来るだけ使わないようにしないと行けない縛りでかくない……?