「大奥……あぁ、懐かしゅうございますね……」
「一年半ぶりかな? 素材美味しいから進まないとね」
「なぜでしょう……それで前回も痛い目にあった気がするのですが……」
嬉しそうなキアラと、青い顔をしているパールヴァティー。
オオガミは微塵も不安を感じていない顔で、
「徳川化とかあった気がするけど上から叩き潰せば問題ないよね!」
「……この、戦略も何もないの、本当にスゴいですよね」
「そうですね……実際、小難しいことを考えず倒せるのなら、それに越したことはないのですが……それで勝てるのでしょうか」
「まぁ、最悪別の手段で倒せばいいから。うん。こだわらなければ勝てるはずだから」
「最近、慢心していると聞いたんですけど、大丈夫なんですか? 時間内にたどり着けます?」
「あぁっ、パールヴァティーからの疑惑の目がっ、心の刺さるっ!」
「ただでさえもここは広い大奥。まだ二層ですし、奥はまだまだ深そうです……急ぎましょうマスター。手遅れになるやもしれません」
「そ、そうだね……」
そう言って、三人は進む。
その後ろから、
「……おかしいです。大奥に捕まったのにまだ取り込まれないんですけど。なんですかこれ。私も合流しろってことですか」
イヤそうな顔をしながらも、オオガミ達を失わないようについていくカーマ。
しかし、
「というかですね……あのマスター、わざと行き止まりに向かってませんか? おかしいですよね。正規ルート行ったと思えば逆走するし。そのせいで隠れるのも大変……いや待ってください。なんで隠れなきゃなんですか。堂々出ていけばいいだけのこと……そうですそのはずです。さっさと合流しましょう」
そう呟きながら出ていこうとした直後、話し声が聞こえてすぐに隠れるカーマ。
そして、三人が通りすぎたのを確認してからホッとため息を吐き――――
「いやホッとしてる場合じゃないから! ホッとする場面じゃないから! 合流するんだから!」
柱に頭突きをして冷静になれと自分に暗示をかけるカーマ。
なんとか落ち着いたのか、ゆっくり顔を上げると、
「ふ、ふふふ……別に、合流する必要なんて無いじゃないですか……どうせ最奥に来るんですし、私もサクッと最奥まで進んで待っていればいいんです。簡単な話じゃないですか。どうせ回り道しかしないですし」
「う~ん、それをされると方向が分からなくなるからやめてほしいんだけど」
「へっ? きゃっ!」
振り返った目の前にいたオオガミに驚き、後ろに逃げようとして思いっきり後頭部を柱に打ち付けるカーマ。
その一部始終を見ていたオオガミは、
「大丈夫? 息してる?」
「後頭部をぶつけたので早退します……」
「回復礼装があるから残念な事にそれは通じないんです」
「くっ、これが人類悪すら連れ回す指定暴力団体ですか……」
「まぁ、人類悪とか関係無くカーマはカーマだし。それにほら、少なくともバラキーが戻ってくるまでは協力してくれるだろうし」
「おかしいですね……そこでバラキーの名前が出てくるのは納得いかないんですけど」
「でも協力してくれるでしょ?」
「……仕方ないですね。今回だけですよ」
そう言って、しぶしぶといった様子でカーマはオオガミの手を取るのだった。
カーマちゃん、ビースト界最弱でキアラにマウント取るためにカルデア襲撃とか知って震えた……何してんだよカーマちゃん……そんなんだからポンコツとか駄女神とか泣き顔が似合うサーヴァントとか言われるんだよ……
ところでスゴい勢いで桜サーヴァント復刻してますけど、ここから周年でまた増えるとか言いませんよね。もう石も資金も無いんだが!!