「アハハハハ!! 皆私の歌声に痺れて倒れて行くわ!! 最高の気分よ!!」
「あっ。倒れててもいいんだ……」
「本人が満足そうなんだ。それでいいだろう?」
「ぐぬぬ……余も混ざりたい……!!」
槍の様に使っているマイクの上に立ち、高笑いするエリザベートと倒れている無数の魔物の残骸を見て、オオガミがぼそりと呟くが、エルキドゥはもう諦めの姿勢らしい。
また、隣でとても混ざりたそうにしている皇帝がいるが、朝に別の場所で大暴れしていたので、現在は後方待機だった。
「それで、私のステージは、何時まで続くのかしら?」
「ん~……後二十回くらい?」
「そ、そんなに!?」
「もちろん。エリちゃんの歌は世界を救うからね! それくらい歌ってくれないとね!」
「えっ、と、その……ま、任せなさい!! 今までのは準備運動。本番はまだまだこれからよ!」
「……ちょろいというか、なんというか……」
「良いの良いの。そんなところがエリちゃんの魅力でもあるんだし」
うんうん。と一人頷くオオガミをエルキドゥは苦笑いをしながら見る。
と、隣にいたネロがオオガミの顔を覗き込むように聞いてくる。
「余は!? 余の出番は!?」
「えっと……ネロ様はもうしばらく後かな。その、色々な場所で頑張ってもらってますし……?」
「ぬわっ! それは面倒な奴にする態度ではないか!?」
「いやいや。たまたまタイミングが悪いだけなんだよ。だって、ここに出てくるの、一体を除いて全員弓だし」
「ぬ……ぐっ。という事は、余もこの先で出番がまたあるかもしれないと期待しても良いのだな……?」
「まぁ、きっとね」
思わず目を逸らしてしまうオオガミだったが、それも仕方のない事だろう。目があまりにも本気だったのだから。
「そこまでだよ。ネロ、マスターが困ってるじゃないか」
「むぅ……だが、」
「だがも何もないよ。君の出番はまだあるんだ。この後の改修作業もそうだけど、もしかしたら8月になったら新しく来るかもしれないんだろう? その時にも必ず編成に組まれるだろうからね」
「ふむ……それもそうだな。うむ! 余はおとなしく待つとしよう」
「そうしてくれると助かるよ」
エルキドゥの言葉を素直に聞くネロを見て、エルキドゥは説得(物理)以外も出来るのか……!! と驚いた表情でエルキドゥを見るオオガミ。
もちろん、その視線がバレて、謎の威圧感満載の笑顔で見られたオオガミが冷や汗を流しながら苦笑いの表情で固まったのは言うまでもない。
「よぅし!! それじゃあ、もう一回行くわよぉー!!」
そして、そんな空気に全く気付かないエリザベートは、元気に笑顔で今日も歌って踊って流星の如く敵を薙ぎ払っていくのだった。
今回は無性にエリちゃんの話をしたくなったのでエリちゃんを。しかし、結局はネロとエルキドゥが持って行くという。
さて、うちのカルデア。今現在何人ポンコツキャラがいるんだ……?