「ふふっ、久しぶりの再会だ。もっと喜んでくれてもいいんだぞ? 我が弟子」
「おっと師匠。厄介な時に来ましたね」
そう言うオオガミに、ライネスは不思議そうに首をかしげてオオガミの手元を覗き込む。
すると、オオガミの奥にいたBBが顔を上げ、
「あぁ、誰かと思えばライネスさんですか。知らない声だったので誰かと思いました」
「おや、誰かと思えばAIを名乗る問題児か。確か名前をBBと呼ぶんだったかな? 君の話はメルトリリスからよく聞いているとも」
「おや? どうしましょうセンパイ。自称センパイの師匠を名乗る方にいじめられているのですが」
「メルトが関わってるなら手を出せないから。バイバイBB」
「見捨てるのが早いですね! 即断即決はいいかもしれませんけどBBちゃんを守る方向に向いて欲しかったなぁって思います!」
「それはない」
「無慈悲!」
手に持っていた【何処でもレイシフト君】を横に置いてそんな掛け合いをしていると、ライネスが不満そうに、
「ずいぶんと仲が良いじゃないか。それはあれか? 見せ付けているのか? それなら私にも考えがあるぞ」
「おっと? センパイセンパイ。この人かつてない程短気です。具体的に言うとふざけてる場合じゃないくらいにBBちゃんピンチです」
「うん。研究はノッブが引き継ぐから安心して」
「安心できる要素はコレが無事ってくらいしかないんですが! BBちゃんの無事を祈ってはくれないんですか!!」
「無事に冥界にたどり着けますように」
「エレシュキガルさんに拾って貰えと!?」
「安心したまえ。殺しはしないさ。我が弟子に近付くと死ぬほど頭が痛くなるとかどうだ? 中々の妙案だと思うのだが」
得意気に語るライネスに、BBは涙目で、
「
「もちろんだとも。まぁ、問題があるとすれば弟子は優しすぎて近付くくらいか?」
「近付きすぎると頭が爆発する機能とか付いてたら優しさによる死というとんでもない結果が生まれそうですね。遠慮します!」
「なに、遠慮は要らないさ。私たちは同じマスターと契約したサーヴァント。戦友と言い換えてもいいからね。だから遠慮せずに受け取りたまえ」
「邪悪な笑みを浮かべてますねこの人! エウリュアレさんの3倍ヤバいんですけど!」
「あらBB。私のどこがヤバいのかしら」
「あっ、さよならセンパイ。あとはノッブに任せました」
肩をエウリュアレに掴まれたBBは、悟りを開いた僧侶のような微笑みを浮かべ、後を託す。
そしてエウリュアレとライネスに連れていかれたBBを見送ると、
「だってさ、ノッブ」
「儂だけで出来る範囲、結構限られてるんじゃけど……あれはどうしようもない。儂も助けられぬわ。知らんうちに出てきたライネスとやらも開幕恐ろしいことをしていって、儂キャパオーバーなんじゃけど」
「サクッと再現するんでしょ」
「……システムを見てたやつが今しがた連れていかれたんじゃけど」
「……早く帰ってくるのを祈るしかないね」
「う~む、神頼み」
そう言って、二人はため息を吐くのだった。
初登場でとんでもない存在感出していったぞあの師匠。ここまで類を見ないくらいのヤバさだったんですけど。誰が師匠をあんな風に……恐ろしいことだ……