「……ガッポリー、ギリギリで終わったんですよ」
「そうね。必死だったものね」
「……高難易度も全力で終わらせたんですよ」
「そうね。令呪を使いそうな勢いだったものね」
オーブンの中かと思うほどに熱い風と日差しを受けながら、オオガミは眼前に広がるカジノの群れを見ながら、
「……ここでラスベガスですか」
「えぇ。石が枯渇した貴方にはピッタリでしょ?」
「死ぬほど後悔してる」
誰だよ石を使ったやつは。と嘆くオオガミに、エウリュアレはにっこりと笑いながら、
「復刻を諦めて今年の夏イベントを待てばいいじゃない」
「……エウリュアレ達の中の誰かがピックアップされてない限り別に……」
「そう言いながら毎度引くでしょ」
「新規イベントはしょうがないじゃん」
そう言って目を逸らすオオガミ。
エウリュアレは苦笑いをしながら、
「それで、マシュは?」
「もう菩薩の微笑みでしたね。次はないぞって意味で」
「……ラムダに使えるの?」
「それは許可してくれた。でもまぁ、少ないのは自業自得ですよって言われたのは反省点」
「言われるようなことをしないようにすればいいのに」
「ガチャが回せと叫ぶので」
「まぁ、いつもなら復刻はあまり回さないものね。しょうがないわ。救いがあるとしたら、最後の方に30個もらえるくらいじゃない?」
「ふっ、今回で絆レベルを上げればいいだけの事だよ。それにフリークエストも残ってるからね」
そう言って、不屈の笑みを浮かべるオオガミ。
エウリュアレは呆れた顔で、
「まぁ、楽しめてるならいいわ。それに、メルトとの約束もあるんでしょ。今回は私が先に帰るからね」
「……なんで予定を把握されてるんですかね」
「あら、貴方の事に関しては他の追随を許すつもりはないもの。なにより、メルトが楽しみにしていたんだから。トゥリファスの時の借りは返しておくに限るわ」
「……ありがと」
「感謝されることなんかないわ。だってほら、それまではカジノを楽しむ私たちについてきてもらうもの」
「……ファラオカジノに小細工無しで入る女神に?」
「それを言ったらメルトはカジノ経営をしているのだけど」
「う~ん、ノーコメントで」
そう言って、目を逸らすオオガミ。
エウリュアレは楽しそうに笑いながら、
「ほら、QPを集めないとでしょ。大丈夫。サクッと終わるわ」
「……エウリュアレに言われたなら仕方ない。サクッと終わらせよう。ところでメルトは?」
「先にホテルに戻ってるって」
「連れ戻しにいくよ」
そう言って、二人はホテルに向かうのだった。
へー、ほー、ふーん……やるじゃん……何も出来ないんだが??
唯一の救いは残り18日でログインボーナスということ。一発で決めなきゃ……