「どうぞ。試作品ですけど」
「……これは?」
カーマから差し出されたものに、首をかしげるバラキー。
カーマは対面に座りつつ、
「煎餅を作ってみたんですけど、意外と難しいもので。焼き加減が難しいですね」
「ふむ……あむっ……むぅ、確かにこれは……」
「なんかベタついてるんですよね。水分が抜けきってないと言うか。かといってこれ以上焼くとダメになっちゃいそうで」
「そうだな……分厚すぎると言うのもあるかもしれん。後は火力が強すぎるか……」
「分かってます。えぇ、はい。でもまぁ、今日はここまでで。チャレンジは疲れますね」
そう言って、机に突っ伏すカーマ。
バラキーは生焼けだったり焦げていたりする煎餅を食べながら、
「……思ったのだが、ここまで出来ているのを見るに、あと数回で出来るのでは?」
「……その変な観察力なんなんですか」
「いや、これだけ食ってれば吾でなくとも気付く……」
「そうですか? まぁ、試作品なんて基本バラキーにしか渡してませんしね……」
「お陰でカーマの上達は分かる。もうそろそろうまく出来ると思うが……」
「……明日には美味しいお煎餅食べさせてあげます」
「うむ。楽しみだ」
そう言って、もさもさと食べ続けるバラキー。
カーマはそれを見て、
「あの、無理に食べる必要ないですからね?」
「無理にではないな……そんなに悪いものでもない」
「それならいいですけど……無理はしないでくださいよ」
「そこまで悪食じゃないわ! 食いたくないものなど食うか!」
「バラキーなんでも食べそうじゃないですか……」
「流石に好き嫌いくらいはある……」
「そうなんです? てっきりなんでも食べるのかと」
「吾甘いものが好きだからな? 苦いのはあまり好かぬ」
「でも焦げた煎餅は苦いと思うんですが」
「カーマのだからな……吾は食うぞ?」
「無理してるじゃないですか……」
そう言って、自分も食べ始めるカーマ。しかし、
「……やっぱり美味しくないですね」
「焦げてないものは吾の炎でなんとかなるんだがなぁ……」
「あっ、ずるいですそれ。出来るなら早く言ってくださいよ」
「吾が全部食べるつもりだったのだが」
「私が作ったんですし私も食べますよ……」
「無理に食わなくてもよいのだが」
「自分のミスを他人だけに処理させてたまりますか」
「……そうか」
そう言って苦い顔をしながら食べるカーマを見て、なんとも言えない気持ちになるバラキー。
「まぁ、次は大丈夫だろう? カーマは器用だからな」
「……もう、仕方ないですね。頑張りますよ」
バラキーに言われ、カーマは少し嬉しそうに笑うのだった。
カーマだって失敗するんです。是非もなし。
昨日に引き続き……はて。そういえばなぜ一日一話投稿しているのか……?
とりあえず、今日もう一話書けるように頑張りますね。