「意外な事に、帰って来ないんですけど」
「反省してるのかもしれんぞ?」
「愛想尽かしたんじゃないです?」
「地味にあり得そうなのやめてよ……」
そう言って落ち込むオオガミ。
ノッブは首を傾げながら、
「いや待て。BBお前何時からここにいる?」
「センパイが令呪を使ったあたりで来ましたよ?」
「儂が見てなかっただけか……」
「えぇ、まぁ。そもそもこの城には近付かなかったんですけどね」
「うん? 何故じゃ?」
「そうですね……正確には近付かなかったというよりも、近付くような用事がなかったっていうのが正しいんですけど、私、観光に来ただけなんですよねぇ。そしたら案の定森さんに見つかって斬りかかられたのでかるぅ~く反撃して連れてきて今って感じです」
「……要するにうっかり目立ったから逃げ込んできたと」
「納得したくないけどそう言うことですね」
「勝蔵はなぁ、そう言うとこあるからなぁ……まぁ、お主が不審者なのは同意じゃけどね」
「えぇ~……なんでですか。BBちゃん、至極マトモだと思うんですけど。不審者じゃないですよ」
「まぁ、一般人には見えないよね」
「溢れ出る不審者感」
「無慈悲……!」
しくしくと泣くBB。
だが、二人とも気にしている様子はなく、
「さて、森くんの様子でも見てくるかな」
「儂もついていくぞ」
「清々しいまでの無視ですね。逆に惚れ惚れします」
「逆ってなんだ逆って」
「そこは掘り下げないでください」
「面倒なのには関わらんのが吉じゃし、是非もないよね!」
「誰が面倒ですか失礼ですね」
「認めてるじゃん」
「しまった誘導尋問でした!」
悔しそうにするBBに、オオガミはため息を吐くと、
「ねぇBB。エウリュアレ達の情報持ってない?」
「あれ、それ聞くんですか?」
「当初は聞くつもりなかったけど、気分が変わったの。で、知ってる?」
「まぁ、噂くらいは。帝都からここに向かって旅をしてる、偉い美人の女性二人組がいるってくらいですが。今どこら辺かまではさっぱり。でもまぁ、心配しなくてもそのうち帰ってくると思いますよ?」
「それならいいんだけどね……」
「まぁ、本人達は楽しんでるでしょうし、いいんじゃないですか? だっていつも通り財布はエウリュアレさんが持ってるんでしょ?」
「……えぇ、まぁ、はい。エウリュアレが持ったまま行っちゃったんで今自前資金は無一文ですね」
「ですよね。でもまぁ、ノッブの給料を天引きすれば豪遊し放題なので今から遊びに行きましょう」
「なるほど?」
「横暴すぎるじゃろそれは!!」
そんなことを言いながら、三人は城を降りていくのだった。
食べ歩きしてるとは露知らず。でもあの二人は絶対噂になりますって。