「オリュンポス辛い……」
「私としては、マシュが恐ろしくなっているのだけど……彼女、最終的に最強じゃない……?」
「出力的にコイツとセットだしそんな問題ないんじゃないかしら」
「……それもそうね」
ぶっ倒れているオオガミの隣で、そんな話をするエウリュアレとメルト。
エウリュアレはつけているネックレスを弄りながら、
「それにしても、まさかアフロディーテがいるとは思わなかったわ。愛と美の神とか、ある意味天敵じゃない」
「貴女は愛を貰って美しいと思われる女神だものね。愛と美を変えられたら変質しちゃうもの」
「全くよ。さっさと始末するに越したことはないわ」
エウリュアレがそう言うと、オオガミは起き上がりつつ、
「……倒しましたけどね」
「知ってるわ。最前線だもの」
「知ってるわ。補欠入りさせられたもの」
「……すいませんでした」
下手な反論は身を滅ぼすのを既に何度か味わっているオオガミは、素直に謝る。
すると、エウリュアレは呆れたようにため息を吐くと、
「別に勝てるなら構わないわよ……正直それほど恨みはないしね」
「ポセイドンは?」
「なんで私を呼ばなかったのか問い詰めるわね」
「すいませんでした……」
「今回は分かってて突っ込んだわね」
「そう言うことをするのよコイツ」
「でも、嫌いじゃないんでしょ?」
「何言ってるの。流石に怒るときは怒るわ」
「今回は?」
「許すわ」
「甘々じゃない……」
「トゥリファス以降こんな感じでちょっと調子狂うんだよね」
「そんな事言われても困るのだけど……」
「扱いきれない女神とか後々辛いわよ?」
「既に二人持て余してますけど」
「……だって」
「私を見ないでほしいのだけど」
ニヤニヤと笑うエウリュアレに、苦い顔をするメルト。
そして、二人はオオガミを見ると、
「そもそも、二人も抱え込んで不遜よね」
「女神に対する敬意とか無いわよね」
「メソポタミアの時からそうだったけど」
「わりと今更よね」
「誰が相手でも変わらないのは私達のマスターらしいわ」
「……意外と変えてるわよ?」
「……知らないのだけど」
「私も映像でしか知らないもの。私達がいないところではそんな事してるわよ」
「ふぅん。そう……」
「えぇ、そうらしいわ」
そう言って、にっこりと笑うエウリュアレ。
オオガミは頬を引きつらせながら、
「いや、いやいや……そんなところを怒られるのはめちゃくちゃ納得いかないんですけど……!」
「だってなんか、納得いかないじゃない?」
「くっ、くそぅ……!」
そう言って、オオガミは壁際に追いやられるのだった。
マシュがかっこよすぎて死にました。これが我らの後輩か……!