「さて……これで決着じゃ……」
「ふふふ……それはどうかしら?」
「む……ならば……ここじゃぁ!!」
バンッ!! と叩き付けられる木の棒。
砂が爆散するほどの威力で叩きつけられ、その威力で隣にあったスイカが飛んでいく。
「むぅ……感触が無かった。外したのぅ……」
「うふふ。計画通り、外したわね。私の言葉を深読みするからよ」
「ぐぬぬ……というか、助言なら良いとしても、惑わせるのはどうなんじゃよ……」
「私がそれをしなくて、誰がこの役目をするのよ」
「そんな役目はいらぬという話じゃ」
「それは……出来ない相談ね」
「……おかしいんじゃよなぁ……」
ノッブは目隠しを外しながらエウリュアレに呆れたような視線を送るが、当の本人は悪びれる様子も無く平然としていた。
「次はネロの番じゃな」
「うむ。今度こそ叩き割ってくれようぞ!!」
「終わるかしらねぇ……早く割らないと、温かくなっちゃうわ」
「じゃあ、別のスイカにして、こっちは先に食べるか」
「ぬわぁ! 余のスイカがぁ!」
ネロの制止も空しく、ノッブはさっさとスイカを取り換える。やっぱりこういうものは冷たいほうがいいのだ。
「それじゃあ、ネロが叩き割るのを観戦じゃな。ナーサリーもやるか?」
「えぇ! 私もやりたいわ!!」
「うむ。じゃあ、茨木も――――」
「当然、参加する。鬼の力、見せてくれようぞ……」
「退屈しないわねぇ……で、エリザベートは?」
「ネロが出て私が出ないわけないでしょ? 当然、出場するわ」
「そうよね。というか、意外に増えたわねぇ……」
「うむ。儂ら二人で遊んでたら、まさかこんなに増えるとはのぅ……リップは食うだけでいいんか?」
「はい。私、棒が持てませんし」
「ん~……まぁ、それもそうじゃな。なら、割れたやつを頼むぞ」
「はい! 任せてください!」
楽しそうに遊ぶ7人。最初はノッブとエウリュアレで遊んでいたが、ネロが来た辺りから、だんだんと人が増えてきていた。
「して、どのようなルールなのだ?」
「む? まぁ、そうじゃな。目隠しをして、10回回ったらスタートじゃな。で、記憶を頼りにしてもいいし、儂らの声を頼りにしても良いという感じじゃ」
「ふむ……まぁ、一度試してみるか」
「まぁ、出番が回ってくるまでに時間はあるじゃろうしな」
「そうか。なら、少し行ってくる」
「うむ。頑張るがよい」
茨木はそういうと、離れていく。
ノッブはそれを見送ってから視線をネロに戻すと、ちょうど的外れなところに棒を叩き付けたところだった。
「ぬぐぁ……ダメだったか……!」
「お疲れさま。次は私よ」
「む。そうか、なら、余が目隠しを着けてやろう……」
「ありがとう! お願いするわ!」
ネロに目隠しをしてもらいながら、ナーサリーは木の棒を受け取る。
「ふむ……ナーサリーの番じゃな。というか、これ、マスターが帰ってくるまでに終わるか……?」
「無理ね。諦めましょ」
「はっきりというのぅ……まぁ、問題はないか」
ノッブはそういうと、楽しそうにスイカ割りを見るのだった。
スイカ割り……正直、楽しいけど後始末の面倒臭さは折り紙付き。英霊もきっと同様なわけで、この後後始末に追われるんじゃないだろうか(希望