「なんだか、ここに立つのも久しぶりの気がする」
「遊んでましたし当然じゃないですか。まぁ、それでも貴方のお菓子を望んでいる声は大きいですが」
厨房でそんな事を言いながらテキパキと準備をして行くオオガミとカーマ。
そして、準備が終わると、
「それじゃ、作っていこうか」
「えぇ、お願いします」
腕捲りをしながらオオガミはやる気を出すのだった。
* * *
「むぅ……最近カーマがマスターといることが多くなっている気がするのだが」
「えぇ、全くね。私たちに構わずあそこで楽しそうにしているのは納得いかないわね」
「えぇ、本当に。痛い目に遭わせないといけないわね」
「……なんというか、マスターの気苦労が分かるわ」
そう言って、ため息を吐くアビゲイル。
オオガミとカーマが厨房に立っている理由は三人の要望なのだが、それはそれとして納得できないらしい。
「それで、何を作っているのかしら」
「普通にクッキーだと思うけど、どうかしら。違うかも」
「早めに出来る物と言っていたんだが、吾は何でもよい……なんでもうまいというのはそれはそれで選択に困るものだな……」
「まぁ、こっちから指定はしてないから、どれが出てきても何も言えないものね。楽しみに待ちなさい」
「何が出てくるか楽しみね。ふふっ、いつもは茨木さんとしか一緒に食べてないけれど、お二人とも一緒に食べられるなんて、新鮮ね」
「そうね。前は一緒に食べていたけど、最近はメルトと一緒だもの」
エウリュアレの言葉を聞いて、首を傾げるバラキー。
「む……元々アビゲイルはエウリュアレに懐いていたのではなかったのか……?」
「最近は一緒に何かしていないから……でも、アンリとは話しているのよ?」
「むしろアンリと話してる方が危ない気がするわね……」
「ちょっと矢を刺してこようかしら」
「……話すと言っても、アビゲイルのそれは、触手で脅している、と言うのに近い気もするがな……それでもア奴は煽るが」
「……自殺願望?」
「絶対楽しんでるわよね」
陰でとんでもない事を噂されているなど知る由も無いアンリ。
実際はアビゲイルの触手パワーで気圧されているだけなのだが。
「でも、アンリはともかく、最近そんなに話してない方が増えてきてしまった気がするわ……どうしましょう……」
「悩まなくても良いと思うけど……私なんか、最近エウリュアレとオオガミ以外と喋る方が珍しいけど」
「それはそれでどうなのかしら……いえ、私もあまり言えないのだけど……」
「……吾、実はこの中で一番交流が広いのでは……?」
ひっそりと恐ろしい真実に気付いてしまったバラキーは、静かにお茶を飲むのだった。
書きながら、最近この二人厨房に立ってたよなぁ……と思う私。パフェ作ってたのっていつでしたっけ……
しかし、このカルデアのいつものメンバー、さては交流範囲狭いな……?
次のデート回
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王道のエウリュアレ
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メルトしかあるまい
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技術部二人と散歩でもいいのよ
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いいから全部だ